クロウサギ捕殺数 過去最高

クロウサギ捕殺数 過去最高

希少種の保護増殖事業などを協議した奄美希少野生生物保護増殖検討会

 

交通事故、イヌ・ネコで
龍郷町円で新たにフン確認
希少野生生物検討会

 

 2017年度「奄美希少野生生物保護増殖検討会」(座長・石井信夫東京女子大学教授)が23日、奄美市名瀬の宴集会場で行われた。アマミノクロウサギ・アマミヤマシギ・オオトラツグミの希少種3種の生息状況と経年変化の把握・モニタリングなどについて報告。アマミノクロウサギの死体確認数と死因について17年(1月~12月)は、交通事故34件、イヌやネコなどによる捕殺21件と発表した。

 同検討会は奄美地域における絶滅の恐れのある種の保存など野生生物の保護対策を適切に推進する目的で開催。会には有識者6人の検討委員のほか、環境省や関係機関、市町村の担当者らが出席した。

 各種保護増殖事業について、それぞれの調査状況と結果を報告。アマミノクロウサギは沢でのフン粒数調査、スダジイ調査、自動撮影カメラによる生息状況モニタリングなどを実施した。

 フン粒数調査では、前年と比較して増加。これまで確認のなかった龍郷町の円で、新たにフンを確認。前年9年ぶりにフンを確認した徳之島の三京は2年連続で確認された。

 スダジイ調査は、クロウサギの食物資源であるスダジイの堅果の発生状況をクロウサギ幼獣フン塊の出現状況と比較し、繁殖状況との関係性を調べるもの。「スダジイの健全果は前年に比べ減少し、幼獣のフン率も減少したことからクロウサギの繁殖にスダジイの豊凶が関与していると考えられる」。

 クロウサギの死体情報の集積と分析を、奄美野生生物保護センターが実施。17年の死体確認数は99件(奄美大島84件、徳之島15件)で、死因別では交通事故が34件(奄美大島26件、徳之島8件)、ノイヌ・ノネコなどの捕殺21件(奄美大島19件、徳之島2件)でいずれも過去最高を更新したと報告された。

 新聞報道された大和村福元盆地のクロウサギによるタンカン食害にも言及。検討委員から、「草食動物なら起こること。クロウサギだけではない」との意見も出された。

 その他奄美大島と徳之島のネコ対策について、奄美大島のノネコ管理計画案の作成などが発表された。