バレイショ価格暴落

豊作傾向の半面、価格が暴落。共販額50%下方修正予想も=12日、JAあまみ徳之島事業本部選果場(伊仙町)


価格動向に気をもみながら収穫に追われる生産者たち=12日、伊仙町喜念

徳之島地区 JA共販目標額「50%」下方修正か
生産者落胆、“試練の年に”

 【徳之島】徳之島地区のバレイショ集出荷が約40%と中盤入りしたが、3月入り後は市場価格の低迷が続く。ここ数日は生産者手取り価格がついには損益分岐ラインを底割れ。JA関係者は消費動向や国内他競合産地とのダブつきなど情勢で「今後もかなり厳しい」と分析。共販目標額の「50%」下方修正も覚悟するなど6期ぶりの暴落年を予想。サトウキビの記録的低糖度に加え〝試練の年〟を強いられそうだ。

 JAの「徳之島地域赤土新ばれいしょ・春一番」の今期共販計画は▽徳之島事業本部(徳之島、伊仙両町)管内が328㌶、5248㌧▽天城同が251㌶、4267㌧の計9515㌧。合同出発式(1月27日)で掲げた共販目標は「1万㌧、20億円突破」だった。同島産バレイショはほかJA系統外業者(商系)の取り扱いがほぼ同量ある。手取り価格はJAが輸送後の市場販売価格で4、5日後に算出するのに対し、商系は数日先の相場動向を先読みした形で庭先買いする違いが。

 JA徳之島事業本部園芸課によると、生産者手取り単価(㌔)は当初平均130円前後だったが3月以降は下降トレンドへ。こうしたなか商系サイドの11、12日ごろ手取り単価は60~55円台にまで暴落。種イモや肥料など生産経費を相殺する損益分岐点とされる単価を割り込んでしまった。

 背景には「年末以降の野菜高騰による消費者の買い控え。北海道産の出荷残量増。昨年の加工用(菓子類)原料不足に伴う青果用バレイショ充当・値上がり後、今期の面積増ダブつき。3Lサイズが約4割を占める大玉傾向」(本田肇園芸課長)などを挙げる。

 さらに他産地との荷のダブつき予想などから「今後の見通しもかなり厳しい」。共販目標額も当初計画の「50%」下方修正も覚悟。前期の好相場から一転、2013年期に匹敵する暴落年を予想させる現状にあるという。

 落胆の声が多い生産現場の中からは「2、3年に1回のスパンで凶作や価格暴落はあるものと想定している。損益のボーダーラインが30円程度になるよう生産資材コストも抑え、単収を上げる努力をしている」(伊仙町喜念、南真琴さん)との声も聞かれた。