昔ながらの作業で古民家の屋根補修

手作業で古民家のふき替え作業を行った(奄美文化センター内)

「カヤ集めにひと苦労」
奄美博物館・屋外施設

  奄美市名瀬長浜町の奄美文化センター敷地内の一角にある、奄美の伝統的な建築様式を残した「古民家」の屋根のふき替え作業が3月から行われている。オモテ(主屋、座敷)のカヤを敷き詰めていく昔ながらの作業風景に通行人が立ち止まり、見入っていた。

 展示は瀬戸内町管鈍に残っていた民家を移築、復元したもので奄美博物館の屋外施設。オモテを中心に、トーグラ(台所)など複数の棟と連結した様式が見学できる。

 老朽化から建物内の雨漏りが発生したため、同市は補修を決定。ふるさと納税寄付の活用事業として、17年度「奄美の伝統的建築の技術保存伝承事業」(予算298万円)で予算化。作業は同市笠利町のグループ「高倉茅葺技術保存継承の会」(山田逸郎代表)が委託を請け負った。

 同グループ関係者によると、建材となるカヤの確保のため、昨年10~12月にかけて材料集めに奔走。市内(名瀬、笠利)や龍郷町などから軽トラック22回分のカヤを搬送したという。

 3月に入り、山田代表が指導役となって10人以上が作業に着手。屋根部分(8㍍四方、高さ4㍍)の補修には足場を組み、脚立に上りながら手作業でカヤを入れ込んだ。4月中旬にはふき替えが完了する見通しだ。

 山田代表は「年々、材料確保が困難になってきたが、伝統的施設を維持していくことが大事」と話した。