歯科2年ぶりの再開

歯科2年ぶりの再開

「骨を埋めるつもりで来た」と話す清水夫妻

清水医師、永住決意し移住
奄美市笠利町・国保診療所

 奄美市笠利町の国民健康保険診療所の「歯科」がこの4月から約2年ぶりに診療を再開した――。医師を務めるのは、北海道苫小牧市から夫婦で奄美に移住した清水忠明さん(60)。清水さんは「大好きな奄美に永住を決意しやって来た。憧れのこの地で、これまでの歯科医の経験を生かし役立ちたい」と抱負を語った。

 清水さんは、北海道苫小牧市出身で、55年続く歯科医院の2代目として開業し、同地で小中学校の学校医なども務めてきた。清水さんは「奄美への移住は36年前からの念願だった」と話す。

 清水さんは大学の学生時代、初めて訪れた奄美の朝仁海岸で仲間とキャンプ中、台風に遭遇し足止め。食料も尽きて困り果てたところ近所の人が手を差し伸べてくれた。清水さんは「その時の島の人の温かさが忘れられなかった」と振り返り、奄美移住への強い思いが募ったという。

 当初は民間医として開業を考え物件探しも行っていたが、奄美の知人に相談したところ同診療所での勤務が内定し永住を決定。妻の乃理子さん(60)も「いずれは奄美」の思いは片隅にはあったものの、2月に苫小牧の歯科医院を閉め、3月に引っ越しと大わらわ。乃理子さんは「夜逃げするようにやって来た」と笑う。

 再開した診療所は現在、患者も少しずつ訪れる中、お年寄りの入れ歯に関する相談が増えたという。清水さんは「しばらく医師がいなかった影響か、噛み合わせの良くないものが多い。歯茎がやせる原因にもなるので早めに相談してほしい」と話す。

 また、島のお年寄りについて「年齢を聞いて、とにかく元気でびっくり」とその印象を語り、「感謝の言葉も多い。歯科医としては久しぶりに聞いた」と島の人柄を改めて確認した。

 目下奄美での楽しみは、新たに事務として働き始めた乃理子さんとの食巡り。清水さんは視力などの兼ね合いもあると前置きした上で「歯科医として、10年は頑張りたい」と意欲を見せた。

 問い合わせは、同診療所歯科電話・FAX0997―63―0130まで。