瀬滝イジュンで田植え

瀬滝イジュンで田植え

田植え歌実演も交え「ユイの心」を育んだ田植え交流=21日、天城町瀬滝

「田植え歌」交えユイの心
天城町子ども育成会、集落など合同で

【徳之島】天城町瀬滝の通称「こうしりいじゅん公園」内のミニ水田で21日午前、兼久小学校(児童数54人)の子ども育成会や瀬滝集落、民謡保存会など合同の田植えが今年もあった。初夏を思わせる陽気の下、ちびっ子らが伝統歌謡「田植え歌」にのせて田植え作業を体験。稲作文化に根差したユイの心にもふれた。

 

「こうしりいじゅん」(川尻の湧水などの意)は1955年代ごろまで、同住民の水くみや洗濯の場、交流の場ともなった地。農地造成や自然災害で埋没しかけたが96年に県事業に絡めて公園化。交流体験用のミニ水田は約150平方㍍。稲作文化を通じた交流の場にと3年前、田植えを復活させた。

田植え会場には児童や保護者、住民など約120人が参加。子どもたちは慣れない田んぼの泥に足を取られ、なかには尻もちをついてすっぽりと泥にはまって〝救助〟される子も。水面を泳ぎ回ったアオダイショウにも絶叫調の歓声を響かせながら、大人たちの手ほどきで田植え作業を体験。あぜでは瀬滝民謡保存会(重田浩次会長)のメンバーらが「田植え歌」で盛り上げた。

泥まみれで初挑戦した同小2年生の永田莉愛=りあ=さん(7)は「どろで足がぬけなかった。大切に育てておもちつきをするのが楽しみ」。白川満校長も「地域の人々が学校や子どもたちを大事にし、学校では出来ない体験で心身を育てようとの気持ちも感じる」とにっこり。

瀬滝集落の院田吉雄区長(67)は「何でも機械化の時代だが、昔ながらに手間暇かけると人のつながり、ユイの心ができる」。今年も8月に稲刈りと脱穀作業を同時に行い、収穫米(約30㌔見込み)でついた餅は9月の集落敬老会で配る。稲わらは正月しめ縄飾りの材料にも活用するという。