病院内こども食堂も報告

小児科医の視点から離島の問題を話す玉江医師(右)と柳澤教授

奄美中央病院 玉江医師 離島医療など考える勉強会で

 【東京】子どもの病院環境&プレイセラピーネットワーク(NPHC=代表・柳澤要千葉大学大学院工学研究科教授)は10日、東京大学工学部1号館の会議室で「2017年度NPHC勉強会」を開いた。「離島の抱える医療、教育、福祉、貧困~小児科医の視点から」と題して玉江末広・奄美中央病院小児科医師が講演、鹿児島における子どもの貧困率が全国で沖縄、大阪に次いで3番目に高い▽これまで敷居の高かった県病院との小児科医における医療連携ができている▽医療関係だけでなく各種機関とのネットワーク作りを積極的に進めている▽病院内でのこども食堂「どぅしくわー食堂」の活動―などを報告した。

 玉江医師は、両親が奄美出身。自身は種子島で生まれ、現在は単身赴任で奄美中央病院に勤務している。

 新聞奨学生から国立大の医学部に合格、30年前は都立清瀬小児病院勤務、専門は小児腎臓病の経歴を持つ医者。奄美で小児科を訪れる子どもの悩みが友人関係で、多くは愛情を受けないで育っている「愛着障害」が見られると説明した。

 玉江医師は子どもの貧困を少しでも減らすために「空腹は最大のご馳走」と考えていて、食べる喜びに加え子どもに一番大切な遊び場も設けた「どぅしくわー食堂」を企画。「これまで同食堂を2回開いて好評を得た」と話した。

 玉江医師は、「病院に行って、子どもも大人もしゃべる場となり、遊びも含めた交流の場となっている」と説明。西出和彦・東京大学大学院工学系研究科教授は「公共の施設に地域住民が自由にできる使いやすいスペースを作るのがこれからの建築には大事」と建築学の立場から支持した。

 また、NPHCの柳澤代表が「最近の小児医療環境デザインプロジェクト~国立国際医療センター小児科病棟改修・船橋市立医療センター小児科病棟診察室改修~」のテーマで講演。子どもの視線が変わって、にこっと笑うような病棟改修やホワイトボードなどを活用した落書きコーナーを設けるなど実際の小児科の院内の建築デザインを紹介した。

 講演会に参加していた吉田聖さん(東大工学部建築学科4年生)は「福祉施設や医療関係など生活に身近なところで建築を学んでいきたいと思っているので有意義な話だった」と感想を述べた。

 また、勉強会の企画に携わった奄美出身で世田谷区の院内学級の教師をしていた渡辺美佐子さんは「参加人数の少ない会だけど、内容は充実していた。勉強会に奄美から玉江先生が来てくれたことは本当に良かった。学生たちや参加者は、先生が中央病院にいる間に奄美に行こうと話が出た」と勉強会の充実を喜んだ。