着物専門店で講演会 西郷の玄孫・写真家の津田さん

着物専門店で講演会 西郷の玄孫・写真家の津田さん

祖父との交流などを通して、西郷隆盛について語る津田直さん


津田直さん(左)と、大島紬の西郷柄を説明する店主・泉二=もとじ=弘明さん

 

「大胆な半面、繊細さもつ」

 【東京】中央区銀座にある、新しい時代の新しい着物専門店「銀座もとじ」でこのほど、西郷隆盛の血を引く写真家・津田直さんによる講演会が開催された。会場に集まった多くの人たちは、津田さんによって映し出された「西郷隆盛の姿」や、取っておきの話に聞き入っていた。

 講演会は、同店で開催されていた大島紬の最高峰・西郷柄「西郷柄展」にちなみ、西郷隆盛の玄孫であり、写真家として国内外で活躍する大阪芸術大学客員教授・津田さんを迎え、西郷隆盛の軌跡を語っていただいたもの。西郷柄でさっそうと登場した津田さんは「心のフィルターを通じ、西郷隆盛と西郷家に育って思い出すことを」と語り始めた。

 家系図を示しながら祖父・隆明さんが隆盛の孫であること、縁戚に津田塾大学の創立者・津田梅子がいたことなどを説明した。「幼い頃に、じいちゃん(隆明さん)から、隆盛は家の中を静かに歩く人だと聞きました。隆盛は大胆な半面、繊細さもあった。さまざまな悔しさを鎮められたのは、奄美の自然だったのではないか」と語った。

 24歳まで、「西郷隆直」を名乗っていた津田さんは、十数回奄美を訪れているが、何気なく入った家で、「私を知らない、おばあさんが突然、西郷隆盛のことを語りだしたこともあった」という。父や祖父、そして自らを顧みて、「西郷家の気質は、(情熱的で一気に燃えやすい)大火事を引き起こす、火のようだったのではないか。それを鎮める書(自身は写真)などの学問を、同時に持ち合わせていたのではないか」。

 そう解説した津田さんは、西郷隆盛にまつわる摩訶=まか=不思議な体験なども披露。集まった人たちは、「新たな西郷隆盛」の姿を見届けていた。

 津田さんは1976年神戸生まれ。世界を旅し、ファインダーを通して古代より綿々と続く、人と自然との関わりを翻訳し続けている。