秋高校野球


【4回戦・神村学園―大島】シード神村の強力打線を相手に好投した大島の中村(上)と日高(下)=県立鴨池

大島 延長12回力尽きる シード神村に健闘あと一歩
秋高校野球第9日

【鹿児島】第139回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第9日は30日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、両球場で4回戦4試合があった。

奄美勢は大島がシード神村学園と対戦。九回土壇場で同点に追いつき延長戦にもつれる白熱した好勝負を繰り広げたが、あと一歩及ばず、延長十二回、4―5で敗れた。

第10日は1日、両球場で4回戦4試合がある。奄美勢は徳之島がシード出水と対戦する。

【評】大島は二回、6番・有馬の右越え三塁打、8番・盛山の左前適時打で2点を先取した。四回に同点に追いつかれたが、五回裏、4番・太月の左前適時打で再び勝ち越す。六回に追いつかれ、九回はランニング本塁打で勝ち越されたが、その裏二死三塁で4番・太月が中前適時打を放ち、土壇場で試合を振り出しに戻した。七回までエース中村、八回からは右腕・日高が好投し、延長戦に入ってからも一進一退の攻防が続く。十二回に勝ち越され、その裏、二死二塁から7番・吉見が中前打を放つも本塁アウトでゲームセットだった。

シードの必死、引き出す 持ち味出し手ごたえ
大島


【4回戦・神村学園―大島】9回裏大島二死三塁、4番・太月が中前適時打を放ち、同点に追いつく=県立鴨池

大島は、シード神村学園を相手に先手を取り「相手の必死を引き出す」(塗木哲哉監督)戦いができた。

滞在中、相手の野球を研究し、満を持して挑んだ。二回、6番・有馬の先制三塁打は「初回が参考になった」と塗木監督。初回も同じ一死一塁で3番・濱田がヒット&ランを仕掛けた。このときは内野ゴロで併殺だったが「けん制球を投げずに初球直球を投げたので次も行けると思った」通り、ヒット&ランが決まった。

九回、表にランニング本塁打で勝ち越され、万事休すと思われたが、その裏二死三塁と同点機を作る。4番・太月が1ボール2ストライクと追い込まれたところで塗木監督は伝令を送った。

「下を使って打て!」

打ち気のあまり身体が突っ込んでいたので、下半身をしっかり使って打てという指示だ。指示通りの打撃で中前に弾き返し、土壇場で試合を振り出しに戻した。

七回まではエース中村、八回からは右腕・日高、両投手陣は丁寧な投球を心掛け、同点に追いつかれた四回以外は、1イニングで1点以上取られない最少失点の守備もできた。「全員で守り、攻める」(濱田雄一郎主将)持ち味を随所に出した手ごたえがあった。

それだけに十二回裏の本塁アウトが痛かった。二死二塁から7番・吉見が中前打。二走・平遼介は三塁を回り本塁に行きかけてストップし、挟殺プレーで熱戦の幕切れとなった。「コーチャーが回しているのが見えて目を切った。回った後でストップの声が聞こえた。目を切るのが早すぎた」と平。上位の戦いになればなるほど、一瞬の判断ミスや迷いが勝敗を左右する。「みんながゲームを作ってくれたのに申し訳ない。同じミスをしないよう走塁練習をしっかりしていきたい」と雪辱を誓っていた。
(政純一郎)