銀座着物専門店で「西郷塾」

銀座着物専門店で「西郷塾」

参加者を前に西郷について熱く語る、安田壮一郎さん

奄美での西郷の暮らしぶりのトークを展開する、左から安田壮一郎さん、泉二弘明店主、織姫の清田寛子さん

大島紬の前で笑顔の坪井隆子(旧姓・西郷)さんと安田壮一郎さん

奄美での秘話や紬の魅力語る
安田さん講師 当時の歴史や文化基準に

 【東京】中央区銀座にある、新しい時代の新しい着物専門店「銀座もとじ」は2月25日、同店で西郷隆盛が3年の歳月を過ごした奄美での生活や愛加那との秘話をはじめ、当時の歴史や文化を基に大島紬の魅力を伝える「西郷塾」を開催した。会場には65人が集い、話に聞き入っていた。

 講師の安田壮一郎さんは、敬天愛人の思想を広める目的で、NPO法人「グレース・ェ・サモサ」を設立。2015年には国民文化祭in龍郷でも西郷について発表したほか、西郷について学ぶ奄美「西郷塾」を立ち上げ活動している。

 着物姿の紳士淑女が目立つ参加者を前に、安田さんも大島紬で登場。「西郷にとって奄美大島はいわば(人生の)大学だった」。また、当時の島の人たちは遠島となって来る人物を上、中、下にランク付けしていて、色が黒くて目が大きく笑みもない西郷は、島の人にとって怖い存在だったらしく「西郷は下の下に位置づけられた」と説明。ただ、「西郷が先生について学んだことと、搾取されるばかりだった村人に西郷が自らに与えられた米を差し上げたことからやがて打ち解け、信頼し合うようになった」と述べた。

 そして、幼くして父を亡くした愛加那は、15歳の頃から芭蕉布や藍染めなどを織って家計を支えた上、「山野を歩く西郷のために、ハブ除けの効能を持つ藍染めを織り上げたでしょう」と説明した。その後、店主の泉二(もとじ)弘明さんとの掛け合いで、沖永良部島などでの西郷の生活ぶりなどにも迫った。

 会場には、玄孫の坪井隆子(旧姓・西郷)さんも駆け付けて、参加者に紹介されていた。西郷の略系図を解説したり、ユーモアも交えた講演に参加者は熱心に耳を傾けていた。

 安田さんは「現在にと続く大島紬は、西郷が書簡でつづった苛政(血も涙もないむごい政治)の時代、島の婦人たちによる愛で紡いだ花織への思いが源泉となっているといっても過言ではないでしょう」と締めくくった。

 なお冒頭で、大河ドラマ「西郷どん」を毎回見ていますかの問いに挙手したのは、四分の一ほどだった。