空中散布後に減少

2015年奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況

ミカンコミバエ誘殺数
生産者「早期に収束して」

農林水産省植物防疫所は25日、奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況(11月23日現在)を発表した。緊急防除区域の奄美大島など周辺諸島の山間部や崖部へのヘリコプターによるテックス板の空中散布は今月16日から行われているが、空中散布以降となる17~23日の1週間の誘殺数は33匹となり、前週の93匹から60匹減少した。市町村別ではほとんどが一桁台となっている。

前回発表されたのは11月16日現在(9月1日から)。奄美大島で合計816匹、緊急防除区域外(喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)で合計24匹だった。

ミカンコミバエの根絶方法ではオス成虫の誘殺を採用。誘引物質として植物の丁子=ちょうじ=(フトモモ科の常緑高木)由来のメチルオイゲノールに、殺虫剤も混ぜた誘殺テックス板が投入されている。地上での配置・増強に加えて、16日から県による空中散布を開始。計画では12月4日までに12万枚のテックス板をまく方針で、20日までに約7万6千枚を終了。その間、ヘリの運航に支障をきたす天候と判断され、空中散布を見合わせたのは18日だけだったという。

空中散布以降の週(17~23日)の誘殺数を市町村別にみると、最も多いのが瀬戸内町の16匹だが、前週(51匹)、前々週(122匹)に比べると大きく減少している。前週比では35匹減となった。瀬戸内町以外の市町村の誘殺数は一桁台で、最も多い大和村が8匹、最少の龍郷町2匹。

この傾向について農林水産省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「緊急防除区域の奄美大島の誘殺数は前々週153匹、前週93匹、空中散布以降の最新週で33匹と順調に減少しており、テックス板配置に加えて空散がうまく効果を上げているのではないか」とみている。生産者代表のJAあまみ大島事業本部の岡山俊一果樹部会長は「(誘殺数の減少は)いい傾向だが、冬場はミカンコミバエの行動が鈍くなることも考慮しなければならない。こうした防除の徹底により一日も早く収束してほしい」と受け止めている。

防除対策では①トラップ(捕獲器)密度の増強②果実の寄生状況調査③野生寄主植物等の把握④有人ヘリコプターによるテックス板散布⑤侵入ルートとなり得る道路等へのテックス板設置―が進められている。