実勢価格を考慮
県は27日、ミカンコミバエの緊急防除に伴う生産補償に関して、ポンカン、タンカンの買い上げ単価を公表した。両品目とも実勢価格を考慮し、1㌔当たりの販売用、自家消費用の価格を設定。ポンカンは標準単価220円、上限530円、自家消費90円。タンカンは標準価格280円、上限価格680円、自家消費110円とした。近年の生産実績から算出した平均単価と、廃棄用として計測した果実の数量を基に、最終的な補償額が決定する。

単価は奄美大島の市町村担当者、生産者などをメンバーとした評価会で意見を取りまとめ、同日までに決定した。生産者の意向はもちろん、「段階ごとの単価設定が望ましい」とした国の指示も反映させた。

ポンカンの単価設定は、標準単価が奄美公設市場の取り扱い実績のうち、最近5カ年の平均単価から最高と最低を除いた3カ年の平均。上限単価はJAの共販実績がないことから、タンカンの標準価格と上限価格の比率を乗じた額とポンカンの標準単価をかけた額に設定した。規格外品など商品性が低い「その他」は40円、自家消費用は肥料や薬剤など栽培に必要な経費相当分として90円とした。

タンカンの単価設定根拠は、標準価格についてはポンカンと同様。上限価格はJAの共販実績のうち、最近5カ年の秀品の中から、最高と最低を除いた3カ年の平均とした。規格外品などその他は40円、自家消費用として110円を設定した。

県大島支庁農政普及課の奥真隆課長によると、生産者ごとの価格決定は、過去1、2年間の販売実績に基づく。例を挙げると、昨年1年間の販売実績書類から価格を算出し、出荷数を割って平均単価を決定する。

補償の流れは、販売実績の証拠書類を廃棄作業の主体となる各市町村へ事前に提出。農家ごとの平均単価を算出し、廃棄命令を受け廃棄処分時に計測した果実数量をかけた額が、市町村を通じて補償される。証拠書類が著しく少ないなど、提出が困難な場合の措置は現在検討中。新規就農者など生産実績がない農家に対しては、標準単価で買い取る方針としている。

補償額の受け取り時期については、関連の補正予算が県や各自治体の議会で提案されていることから、予算成立後になるとみられる。

補償は廃棄を経た上で生産農家へ届くが、現在、廃棄手順を含め日程は未定。奥課長は「ポンカンは収穫間近。早期に廃棄手順を通知するよう、国に求めていく」と意欲をみせた。

県の補償単価公表についてJAあまみ大島事業本部の幹部は、「額についてはコメントできないが、農家が一番気がかりだった補償内容が早期に公表されたことはよかった」としている。