16年度奄振予算案

2016年度奄美群島振興開発関係概算決定額(国費ベース)

前年度比3%減の226億5千万
交付金は同額確保 奄美―沖縄間で運賃低減通年 奄振基金は皆減へ

【東京】政府は24日、2016年度予算案を閣議決定した。国の一般会計総額は、96兆7218億円と4年連続で過去最大となった一方、地方交付税は6年連続減の15兆2811億円となった。そうした中、公共・非公共を合わせた奄美群島振興開発関連予算(国交省分)は226億5千万円で、対前年度比3%減となったが、その主な要因は公共事業の所要額を積み上げた結果。国土政策局の行政経費全体が対前年度2%減に抑えられる中、奄美群島振興交付金20億5千万円を含む非公共事業は対前年度比同額を確保。支援メニューは前年度を踏襲するほか、新たに奄美群島と沖縄県の両地域の連携を強化するため、通年の運賃低減策を講じる。

対前年度比ほぼ同額の20億6600万円となった非公共事業では、奄振交付金も前年度同額を確保した。支援メニューの柱となっている農林水産物輸送費支援では、交付率10分の7を維持。航路・航空路運賃の低減、世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーン、農業創出緊急支援についても、前年度と同様、支援対象はそれぞれ交付率10分の6が適用される。

また、新たに実施するものとして、「奄美・琉球」の世界自然遺産登録を見据えて、奄美・沖縄を結ぶ航路・航空路などで、住民・観光客を対象にした通年の運賃を低減。交付率は10分の6とした。

ほかに、情報通信産業等における人材の確保・育成、林業・水産業の振興、自然環境の保全・再生、防災対策の推進、医療の確保等への支援などが、交付金を活用した取り組みとして引き続き盛り込まれた。

公共事業では、治水で龍郷町の大三川・戸口川における床上浸水対策特別緊急事業で3億3600万円、治山で喜界町や与論町での防災林造成事業に8300万円を計上。また、港湾空港は、名瀬港や和泊港の港湾整備、老朽化した施設の維持補修などが行われる奄美空港の空港整備などで18億2500万円。水道廃棄物処理は、簡易水道施設整備や与論町の廃棄物処理施設整備が本格化することに伴い、5億9500万円とした。農業農村整備は、沖永良部島の国営かんがい排水事業や農業競争力強化基盤整備事業などで64億2千万円などとなった。

ほかに農産漁村地域整備(交付金)は、農地整備事業などで16億6400万円、社会資本総合整備(交付金)は、道路事業の名瀬瀬戸内線(根瀬部国直工区)などで55億2800万円、防災・安全交付金は、嘉徳海岸の護岸工事が本格化することに伴う海岸事業で34億8600万円を計上している。

これまでに、財政投融資特別会計からの出資金として毎年2億円が計上されていた独法奄振基金は、保証業務を遂行していくにあたり十分な資本金が積みあがったことから、来年度は皆減となった。

国の予算案は来年1月4日開会の通常国会に提出される。