ハンセン病問題理解深める

親子療養所訪問事業で和光園入所者と市民が交流した

和光園親子訪問
入所者と交流、見学も

県保健福祉部健康増進課は25日、奄美市名瀬和光町の国立療養所「奄美和光園」(加納達雄園長)で2015年度親子療養所訪問事業を開いた。参加した親子や子どもたちは、同園入所者との交流を通し、ハンセン病問題について理解を深めた。

同事業は偏見や差別のない社会づくりとして、同病問題の正しい知識の普及と啓発を目的に02年度から実施。今回14回目となる。この日は奄美市、瀬戸内町在住の親子、名瀬中学校ソフトテニス部員の24人が参加し、納骨堂での焼香と献花など施設見学を行った。

交流会では、グループに分かれた参加者が入所者4人と交流。70歳代女性入所者は「小学校5年生で発症し、正式な診断後入所した。成人式は園内だった」。94歳男性入所者は「30歳から入所。いまはひ孫がたくさんいて、会いに来てくれます」などの言葉に参加者は聞き入った。またある入所者の「らい予防法を知っていますか」という質問に対し、男子中学生が「授業で学びました」と答えると、入所者は目を細め、何度もうなずく場面も。

古仁屋中1年・瀬崎朱音さんは「当時のことが聞けたことは貴重な体験。きょうのことを忘れないようにしたい」などと話した。

閉会式後、参加者は思いを綴ったメッセージ・カードを入所者に贈った。

加納園長は「ここでは50年以上暮らしている入所者ばかり。当時のことを語ることができる唯一の生き証人の言葉を受け止め、二度と不幸な歴史を繰り返さないよう努めることが大切」と語った。

同園は1943年開設。ピーク時は約360人いた入所者は、12月25日現在、34人(男16人、女18人)。平均年齢84・5歳。