寄主植物撤去に住民協力

廃棄処分するポンカンを各集落公民館に運び込んだ(瀬戸内町篠川)

軒先の果実を撤去する住民ら(宇検村湯湾)

瀬戸内町、宇検村
集落単位で防除展開

瀬戸内町の奄美大島側と加計呂麻島、宇検村の一円で27日、ミカンコミバエ種群根絶に向けた寄主植物の一斉撤去作業があった。2町村では青壮年団員など地域住民を中心に自治体職員も加わり、各集落単位で作業を実施。軒先で育った自家消費しない果実類のほかや園地の果実も回収し、ミバエ種群のまん延防止に努めた。

奄美大島ではミバエ種群の侵入・発生以降、今月21日までに859匹の誘殺数が確認され、最新の調査結果(12月15日~21日)では2町村で1匹ずつ誘殺されている。11月下旬から誘殺数は大幅に減少しているものの、トラップやテックス板による防除はオスに有効なことから、メス駆除を目的に寄主植物除去を行った。

瀬戸内町では、加計呂麻島に同町農林水産課の職員15人が入り、誘殺が多数確認された集落を重点的に、対象果実の撤去や樹木の伐採作業を実施。奄美大島側の各集落では住民らが自主的に同様の作業を行い、集落公民館にポンカンなどの果実を持ち込んだ。

町内でもポンカンとタンカンの生産量が多い篠川集落(金井直利区長、71世帯約130人)では午前9時、農家とその家族など約30人が公民館前に集合。終日、集落内にあるポンカン園4カ所で果実の撤去作業に追われ、午前中だけで約2㌧を回収した。金井区長は「町から配布された収集袋もまったく足りず、自家用のかごを持参して作業している状態。とても1日では終わらない」と厳しい表情を見せた。

同課によると、この日の収集量は約10㌧。今後指定地に一括収集して廃棄処分するという。同課担当者は「各集落で今回の緊急措置に理解していただいた。来月にはタンカンの対応も始まるので、引き続き協力をお願いしたい」と話している。

宇検村では午前8時頃から、全14集落で作業を実施。同村湯湾集落では、同集落に居住する元田信有村長も参加し、高枝切りバサミなどを使用して在来柑橘=かんきつ=類などの果実を撤去する姿がみられた。

元田村長は「村内集落の中でも、住民間にミバエ問題への温度差がある。農家など関係者だけでなく、住民も同じ意識を持つことが早期根絶につながる」と指摘。60代女性は「集落一斉に果実を撤去することで、体力的に作業が難しい高齢者も助かる」と話した。
 同村では各集落で回収した果実を28日までに、ポンカンの廃棄場所となっている村有地(赤土山)へ廃棄する予定。