緊急防除委託料を活用

緊急防除の委託料を活用し、果実の買上げ廃棄作業も進められている=奄美大島選果場で=

臨時職員雇用や作業委託も
タンカン最大産地・奄美市

 ミカンコミバエの侵入・発生で寄主果実の移動規制(島外出荷禁止)下にある奄美大島の自治体では、緊急防除の委託料を活用した取り組みが進められている。タンカンの最大産地の奄美市は作業をスムーズに進めるため臨時職員雇用など人件費にも充てているほか、関係機関・団体への作業委託に活用。当初の予想を上回る買上げ(廃棄)量に対応している。

 緊急防除の予算枠の中で国が交付している委託料は、県と市町村の契約の形で執行。問題の早期収束・根絶に向けて防除対策に必要な経費を賄うもので、「あらかじめ予算の上限を決めた上で過不足がないよう掛かった費用に充ててもらうが、公金であり無駄な支出がないよう関係自治体の理解を図っている」(農林水産省消費・安全局植物防疫課)。

 奄美市農林振興課によると、同市では12月1日付で県と契約。委託料は▽捕獲用のトラップによる調査▽誘殺用のテックス板設置▽ベイト剤〈薬剤〉散布▽果実買上げ▽廃棄処分▽人件費―などに役立てている。このうち廃棄にあたっての買上げ単価算定では市職員だけでなく、臨時職員も5人(支所を含む)雇用。トラップ調査やテックス板設置も市職員だけでなく、若手農家で構成する団体に作業を委託。名瀬・住用・笠利と3地区に分かれ作業箇所が広範囲に及ぶ中でも満遍なく、計画的にこなしている。

 名瀬地区の朝戸にある奄美大島選果場で受け入れている廃棄果実の処分にあたっては、埋却作業のみ市職員は担当せず、すべてJAあまみ大島事業本部に委託。廃棄の前段階の果実検量は市の臨時職員も配置している。

 同課は「委託料があることによって市町村が行う防除対策のほか、自家消費分も補償の対象になり予想以上に量が増えている果実の廃棄処分もスムーズに進んでいる。十分に活用するとともに、無駄な支出には注意し適正に執行していきたい」としている。契約を受け入れる側の県は市町村に対し、職員だけでの対応では不十分な場合は臨時職員の雇用など委託料を十分に活用した迅速でばらつきのない防除の取り組みを求めている。

 県大島支庁農政普及課がまとめた1週間の品目ごと買上げ(廃棄)量をみると、直近の1月23~29日まででタンカンは95・7㌧で、全体の98・97%とほとんどを占めている。市町村別では奄美市が44・8㌧となり、全体の46・81%と半分近くに及ぶ。

 タンカンの選果場への持ち込みは昨年末から開始する生産農家もあった中、市農林振興課は「2月に入りタンカンの持ち込み、単価算定は落ち着きつつある」と説明。住民主体・集落ぐるみでの取り組みとなる寄主植物(果実)の除去も重要な対策だが、同市では7日と14日に計画している。