大島 日間5位で締めくくる

ゴールする大島のアンカー神田=みなと大通り公園
総合は9位、Cクラス優勝逃す 

【鹿児島】第63回県下一周市郡対抗駅伝大会最終日は17日、根占中下から鹿児島市役所まで、11区間114・9㌔で競われた。大島は6時間27分34秒の5位でこの5日間で最高順位だった。累計は33時間3分52秒で9位。6位の指宿に及ばず、Cクラス優勝は逃した。

 大島は1区で川口(鹿児島城西高)が2度目の区間賞と好発進。後続も粘りの走りをみせ6位より順位が下がることはなかった。総合優勝は、鹿児島が31時間50分38秒で5年ぶり17回目の栄冠に輝いた。以下、姶良、川辺と続き、Bクラスは曽於が、Cクラスは指宿が制した。
 

尻上がりに調子づく 「CクラスV」に現実味
大島

 目標に掲げるCクラス優勝は今年も達成できなかったが、大島は尻上がりに調子を上げ、最終日は今大会最高の5位で締めくり、総合9位と4年ぶりの1桁順位だった。川元英経監督は「選手たちが持っている力は十分出し切ってくれた」と感極まった。

 「初日よりも2日目、3日目と日に日にチームの雰囲気が良くなっていった」と5日間を締めくくるアンカー区間を走った神田隆宏(名瀬港運)は言う。序盤は初出場の選手らが思うような力を発揮できず、神田も8区を走って区間最下位と振るわなかった。だが「身体がしっかり動くようになった」3日目の4区では区間4位と名誉挽回の走りができた。最終日のアンカー区間も、途中で繰り上げスタートがあって正確な順位は分からなかったが「チームの目標のために絶対に気が抜けない」と気合が入っていた。監督車に乗る川元監督から「日間5位、狙えるぞ!」と掛け声に奮起し、役目を果たすことができた。

 雰囲気が良くなった一番の要因は「初出走の高校1、2年生が頑張ってくれたことが大きい」と岸田賢吾主将(奄美市役所)。与論高2年の石峯はサッカー部員で、本格的な駅伝経験はほとんどない。2日目の4区は区間11位と本来の走りができなかったが、4日目の8区は区間5位と健闘。そういった若い高校生の成長が刺激になり、9区を走った岸田主将は「自分よりも実績のある選手がたくさんいたけど、絶対に負けられない」と8人が繰り上げで一斉スタートだった区間で、4位と好走した。全国都道府県駅伝を走った川口、南の鹿児島城西高コンビを軸に「誰かに頼るのではなく、自分に与えられた役目を果たす」(川元監督)走りが日を追うごとにできるようになっていった。

 「Cクラス優勝は現実味を帯びてきた」と神田は言う。現時点で9位ということは単純に考えれば、来年のCクラスのチームでトップの成績を残したことになる。今大会のエースを担った川口、南の高校3年生は県外の大学に進学して抜ける。来年、目標を現実にするためには「今大会を経験した1、2年生がこの1年でどれだけ成長するか」を岸田主将はカギに挙げていた。
160217駅伝・川口政純一郎)

 

チームに「流れ」呼び込む 
想いは「チームのために」 川口竜也(鹿児島城西高 朝日中卒)

 「チームに流れを呼び込んでくれた」と川元英経監督がいの一番に殊勲者に名を挙げた。2日目に続く2度目の区間賞で日間5位の原動力になった。

 想いは「チームのために」ただ一つ。Cクラス優勝、Bクラス入りというチームの掲げた目標のために自分の走りをすることだ。初日は区間4位、2日目は区間賞を取ったが「5段階評価で1」の走りだったと反省する。2日目の1区はトップではあったが、終盤まで首位争いをして、結局2位に4秒差しかつけられなかった。「後ろの選手にプレッシャーをかけてしまった」ことが悔やまれた。

 自分の仕事は区間賞を取るだけでなく、後続を引き離して、2区以降のチームメートを勢いづけること。2位の鹿児島との差は4秒だったが、3位以下とは36秒以上の差をつけた。「5段階評価で4の走りはできた」と納得の出来だった。

 朝日中時代は水泳部だったが、長距離が速くて県中学駅伝に出場した。苦しかったとき、タスキの裏にチームメート全員が書いた寄せ書きが目に留まり、くじけそうな心を奮い立たせて走れたことが思い出に残った。チームは県2位と好成績を残し、髙田敏寛監督の目に留まって鹿城西高に進学した。

 1、2年は故障もあって思うような結果は残せなかったが、3年になって頭角を現し、夏の県選手権ではジュニア5000㍍で優勝。都道府県駅伝のメンバーにも選ばれ、鹿児島代表で5区を走った。

 今大会は同じ鹿城西高の南と並んで、チームのエースとしての役割は存分に果たしたが「まだまだ自分のことだけを考えていて、チームのためになる走りができなかった」と反省する。卒業後は関東の名門・山梨学院大に進学する。「どんなコンディションでも、トラックでもロードでも通用する強い選手になりたい」と更なる飛躍を誓っていた。
(政純一郎)

 第5日の結果は次の通り。

 【総合】①鹿児島 31時間50分38秒②姶良 31時間58分29秒③川辺 32時間18分33秒④曽於 32時間23分16秒⑤出水 32時間46分52秒⑥指宿 32時間53分39秒⑦川薩 32時間54分24秒⑧肝属 32時間59分44秒⑨大島 33時間03分52秒⑩日置 33時間06分33秒⑪熊毛 33時間06分49秒⑫伊佐 33時間54分08秒

 【日間】①鹿児島 6時間15分12秒②姶良 6時間22分13秒③曽於 6時間24分08秒④川辺 6時間25分08秒⑤大島 6時間27分34秒⑥出水 6時間28分09秒⑦熊毛 6時間28分59秒⑧肝属 6時間29分13秒⑨川薩 6時間29分21秒⑩指宿 6時間29分48秒⑪日置 6時間31分10秒⑫伊佐 6時間42分16秒

 【クラス別総合順位】▽Aクラス ①鹿児島 31時間50秒38秒②姶良 31時間58分29秒③川辺 32時間18分33秒④日置 33時間06分33秒▽Bクラス ①曽於 32時間23分16秒②出水 32時間46分52秒③川薩 32時間54分24秒④肝属 32時間59分44秒▽Cクラス ①指宿 32時間53分39秒②大島 33時間03分52秒③熊毛 33時間06分49秒④伊佐 33時間54分08秒

 【躍進賞】①曽於  24分34秒減②鹿児島 4分22秒減③大島 2分48秒減

 【区間】▽1区(10㌔)①川口(大島)32分11秒②永井(鹿児島)32分15秒③吉留(姶良)32分47秒▽2区(9・1㌔)①洲崎(鹿児島)30分04秒②松野(姶良)30分19秒③古市(川辺)30分27秒▽3区(10㌔)①中村(鹿児島)33分05秒②中園(姶良)34分00秒③雪丸雄(川辺)34分07秒⑩武田(大島)35分25秒▽4区(11・6㌔)①福迫(指宿)38分19秒②中村(川薩)38分29秒③山内(川辺)38分42秒⑥南(大島)38分45秒▽5区(12・4㌔)①ギシア(姶良)38分49秒②高田(指宿)40分14秒③淵之上(川薩)40分16秒⑤森(大島)41分16秒▽6区(8・7㌔)①大中原(肝属)28分35秒②中村(川辺)28分39秒③東(鹿児島)28分45秒⑨中脇(大島)29分35秒▽7区(8・6㌔)①下石原(鹿児島)27分47秒②平嶺(姶良)28分55秒③宮下(出水)29分08秒⑥川上(大島)29分25秒▽8区(10㌔)①永谷(姶良)32分20秒②有木(鹿児島)33分04秒③吉村(曽於)33分36秒⑩瀧田(大島)34分51秒▽9区(11・3㌔)①南雲(鹿児島)36分51秒②宮國(姶良)37分24秒③高田(熊毛)38分08秒⑩平(大島)39分17秒▽10区(新コース、14・8㌔)①増田(曽於)45分51秒②鈴東(鹿児島)46分40秒③坂中(熊毛)46分56秒⑧豊藏(大島)48分27秒▽11区(8・3㌔)①吉岡(姶良)26分11秒②星子(鹿児島)26分51秒③萱原(肝属)27分05秒⑥神田(大島)27分45秒