22日、スモモの移動制限基準日

スモモの移動制限基準日は今月22日。収穫期までのミカンコミバエ誘殺状況が注目される(大和村のスモモ園の開花の様子)

テックス板設置
防除対策で設置されているテックス板

一世代相当期間 誘殺ゼロで規制なし
県内一産地・大和村  テックス板など防除対策

 ミカンコミバエ種群の緊急防除実施により、寄主植物への移動制限基準日が設定されているが、柑橘=かんきつ=類のポンカン、タンカンに続き今月22日には特産果樹スモモの移動制限基準日を迎える。ミカンコミバエの一世代相当期間、誘殺ゼロならスモモに規制が掛からず島外出荷が可能になる中、県内一の産地・大和村では出荷を目指しての準備や防除対策が進められている。

 農林水産省消費・安全局植物防疫課によると、奄美大島が対象となっている緊急防除の解除は「ミカンコミバエ種群の誘殺が三世代相当の期間確認されなかった市町村については、有識者の意見も踏まえた上で、緊急防除の解除を判断する」。気温が高い夏場は1カ月で一世代繰り返すとされており、三世代相当は夏期なら4カ月程度になる。

 ミカンコミバエが好む「好適寄主植物」とされるスモモは、5月に収穫期に入るが、同課は「5月上旬から遡り、基準日(2月22日)までの一世代相当期間にミカンコミバエが見つからない誘殺ゼロ(対象はオス成虫)が続けばメス成虫の活動もないと判断され、スモモは規制が掛からない」と説明する。移動制限基準日以降に誘殺が確認されると、そのトラップを中心とした半径5㌔以内の区域が「特定移動制限区域」に設定され、その区域内で生産された該当植物は、原則として全量廃棄の対象になる。

 この区域設定によりスモモの場合、大和村で誘殺ゼロでも隣接する自治体で誘殺が確認されると、同じ村内で島外出荷できるところと、島外出荷できず果実が廃棄処分されるところが出る可能性がある。規制の解除に向けては防除対策で周辺市町村の協力も欠かせない。

 村産業振興課によると、防除対策としてテックス板(オス成虫を誘殺し、交尾機会を少なくすることでミバエの密度低下)を村内全域にわたって樹木の枝の下などに設置。役場職員のほか国や県の協力も得て、1回あたり約3千枚を設置している。昨年12月に続き2回目は今月行ったが、テックス板の有効期間は50~60日の約2カ月間とされる中、3回目の実施も計画している。

 対策ではミカンコミバエが寄生する可能性がある寄主植物の除去も。1月には集落清掃の一環として大規模に進められたが、その後も果実の摘果による除去や樹木の伐採、強せん定といった対策が、行政が提供する寄主植物調査情報に基づき、地域住民と行政が一体となり段階的に展開されている。

 同村のスモモ栽培面積は約20㌶、生産農家約150人。昨年の出荷にあたっては、県が認証する「かごしまの農林水産物認証制度」(K―GAP)を村果樹振興会(勝三千也会長)が取得、有利販売につなげている。今年もミカンコミバエ被害を乗り越えての出荷を目指し生産農家は管理作業などに取り組んでいるが、1月の寒波の影響で開花は遅れぎみ。

 村産業振興課は「例年に比べ10日~2週間程度開花が遅れている」とみており、純白の花の開花はまだちらほらの状態だ。これにより着果も遅れる見通しで、3月の中旬~下旬になりそう。勝会長は「一年ごとの更新が必要なK―GAPも、更新に向けて準備を進めておりスモモの島外出荷に備えたい。農家も寄主植物の除去など自分でできる対策に取り組んでおり、管理作業とあわせて関心を持っていきたい」と語った。