伊仙町で県観光アド事業

県観光アドバイザー浜本奈鼓氏を交えて集落の魅力を探った関係者=24日、伊仙町西犬田布

「見せ方・伝え方が大事」
地域の素材 エコツアーの宝の山

 【徳之島】エコツアー・トレイルコースなどの魅力を探る県観光アドバイザー派遣事業が24日、伊仙町の西犬田布集落を手始めにあった。ガイド役の住民たちが、足元に広がる歴史・民俗・自然など地域の素材の数々をアピール。招へいされたNPO法人くすのき自然館(姶良市)の浜本奈鼓=なこ=代表理事は「見せ方を考えて伝えていけば、エコツアーの宝の山だと思う」と評した。

 各集落での様々な取り組みを観光産業につなげる集落勉強会にも位置づけて町が主催した。アドバイザーの浜本氏は「くすのき自然館」(1987年活動開始)代表理事として環境教育や自然体験活動を通じた鹿児島を愛する人々の育成、豊かな郷土の風土(自然・文化・生活)を守り継承していく環境保全・風土継承活動などに幅広く取り組んでいる専門家だ。

 西犬田布(通称・とうばる)集落は徳之島の南西端に位置する農村集落。奄美十景の1つでもある景勝地「犬田布岬」などでおなじみ。今回、住民たちの話し合いでピックアップした暫定コースは県道と町道「犬田布岬入口」交差点を発着点に、1968(元治元)年の「犬田布騒動(一揆)記念碑」や「犬田布貝塚遺跡」(県指定文化財)をはじめ前泊漁港高台、共同墓地、振り茶家元などを訪ねて犬田布岬を折り返す往復約5・4㌔のコース。同日は地元の元学校教諭大谷博昭さん(82)ら3人をガイド役にこれらコースの一部を自由に訪ね歩いた。

 アドバイザーの浜本氏は2時間弱歩いた感想で、「徳之島は何十回と来ているが、特に伊仙町は他2町と違って南の方に開けて地質も土地の形も違い、一括=くくり=りにできない宝庫。エコツアーにとっては宝の山だと思う」。そして「島の方たちには当たり前のことだが、その見せ方・素材の組み合わせ方・伝え方によって、訪れる人を魅了してやまないものがいっぱいある」と強調。

 活用には「新しい観光の形というが、『こういうものを提供できますよ』だけではなく、外から来た人たちが何を求めてこの地に来るかを考えてリサーチ。その素材を組み合わせて伝え方を工夫したりすると、どこにも真似ができないものがあると思う」。特に、共同墓地については「類=たぐい=まれなコースになると思う」とも強調した。

 夜は同氏の講話を交えた意見交換会もあった。25日は同町阿権集落を対象にある。