徳之島・2品目で研修会

新規栽培希望者たちが熱心に耳を傾けたパパイア研修会=25日午後、JAあまみ徳之島事業本部会場

パパイア一挙50人新規参入へ
侵入防止にタンカン残果処理を

 【徳之島】JAあまみ徳之島果樹部会(松本幸徳会長)主催のタンカンとパパイア研修会が25日、徳之島町内の2地区会場であった。タンカンは寒波ダメージによる黄化落葉症状など対策をはじめ、取り残し果実の除去などミカンコミバエ対策も確認。共販出荷2年目のパパイアは大口需要と有利販売実績も背景に、来月の春植え新規参入者が3町で一挙約50人に増加。栽培の基礎を学んだ。

 同町北部の前川生活館(花徳)と同JA徳之島事業本部会館(亀津)の2会場であった。講師は県徳之島事務所農業普及課の姫木芳春技術専門員が担当。両会場合わせタンカンの部に24人、パパイアの部に28人の計52人が熱心に耳を傾けた。

 タンカンは昨年10月以降の高温傾向から一転した1月24、25日の記録的寒波の襲来などで黄化落葉や異常落葉、黄斑病による落葉などがみられる。姫木技術専門員は「黄化落葉は放置すると芽が出なかったり、(樹勢)回復に2、3年。異常落葉はうまくすれば1年で回復する」。最も大切な樹や根の健全化対策を呼びかけた。

 同島で飛来確認のミカンコミバエ対策では、島内の一部地域で幼虫が確認されていたことにも言及。「冬の低温期は見かけ上は(成虫の)活動は見られず、キンバエやクロバエを見かけないのと同じ。しかし冬を越した成虫は活動を始める。昨秋に飛来したミカンコミバエが果物や野菜、樹木などの実に産卵し、成長した幼虫は土に入り、さなぎが羽化する可能性が」と懸念する。

 しかし、熟した果実は収穫して食べるなど速やかに処理し、落下した果実や腐った果実は放置しないで積極的に除去。3月から約1・5倍に増量するテックス板(誘殺剤浸透)散布など対策を並行すれば、「初動防除が早かった徳之島は防げると思う」との見通しも示した。

 パパイアは、県JA経済連を通じた小売業界大手㈱ダイエー(本社・東京都)との商品開発・販売提携で、生産面積・量の拡大が求められている。当初植栽面積の約50%が壊滅的状態となった台風被害、防風対策の大教訓を残しつつも昨年夏以降の共販実績は約60㌧・約1千万円。販路確立と収益性の高さから、春植えの新規植え付け希望者は一気に約50人、約7千5百本を予定。部会員は約58人、面積は約15㌶に拡大される見込み。

 姫木技術専門員は「この1年間で成功も失敗事例も出た。風対策が不十分な広い畑に植えるとほとんどが育たない」と防風樹(垣)や防風ネットは必須条件であることを強調しながら、生育や土壌管理についても分かりやすく解説した。