武蔵野大シンポ

パネルディスカッションでは、同大との連携について「継続を目指したい」と語った高岡町長(右から2番目)

地方創生プロジェクト継続期待
徳之島町活性化に学生の力

 【東京】武蔵野大学は26日、同大有明キャンパス(江東区有明3)でFDシンポジウムを開催した。全国の地方自治体や団体と連携・協働し、地方創生と次世代育成を目指したプログラムに取り組む同大で、講演会や事例発表、パネルディスカッションなどを通して成果と課題を検証。15年度から同大の学生66人を受け入れた徳之島町からは、高岡秀規町長がパネラーとして参加。学生の存在が島人の刺激になったことなどに触れ、今後も継続して連携していきたい考えを示した。

 産官学連携のもとで行われている同大の地方創生教育プログラムは、文科省大学教育再生加速プログラム(AP)採択事業。同大では5年前から産官学連携教育/学外学習プログラムとして、全国の自治体と協働し、学生が長期滞在しながら地域の課題解決を共に考えていく取り組みを実施。徳之島町では、同町亀津の会社社長・永濱隆史さんが同大幹部職員と個人的交流があったことが縁で昨年学生を受け入れ、農業体験(果樹マンゴー・タンカン、畜産)と、町企画課、食品加工センター美農里館、観光協会を対象にしたインターンシップ「徳之島プロジェクト」で、観光ガイドブック製作実習なども行ってきた。

 今回のシンポジウムのテーマは「学外学修プログラムによる学生の成長の可能性を考える」。そのうち、パネルディスカッションでは、「地方創生における大学の役割と責任を考える」と題し、高岡町長、北海道の松岡市郎東川町長、高知県の矢野富夫梼原町長、久富健武蔵野大学教授がパネリストとして参加。武蔵野大学教養教育リサーチセンター客員教授で㈱文藝春秋監査役の勝尾聡さんの司会進行のもと、学生が地域に入ったことによる効果や成果などについて意見を交わした。

 高岡町長は「66人というこれだけの学生が入ったのは初めて。町は昔、学士村と言われた時代もある。お金には変えられない価値が田舎にはたくさんあり、グローバルな人間が育つよう、今後も受け入れ態勢を検討したい」などとしたほか、学生たちの人間関係構築の様子に触れ「畜産の手伝いで農家の人たちは、まさか都会の学生が牛などの糞尿の世話ができると思っていなかったが一生懸命やってくれた。共同生活の中で他人に叱られることもあり、精神的に落ち込んだと思うが、そこを乗り越えないと成長できない。学生たちは体験を通して精神的な強さが芽生えたのでは」と評価。また、学生たちのちょっとした一言から、かかわった島民や職員たちに気づきや刺激が与えられたことなどを報告。10年単位のプロジェクトとして見込まれている同大との連携に、今後も期待を示した。