検査合格で島外出荷可能

ミカンコミバエの誘殺ゼロの継続により島外出荷が期待されている大和村のスモモ(資料写真)

産卵確認世代交代防止へ 引き続き警戒を 「特定移動制限区域以外」に
18週連続誘殺ゼロ

 農林水産省植物防疫所は27日、奄美群島におけるミカンコミバエの誘殺状況(4月25日現在)を発表した。最新週の4月19~25日までの誘殺状況は緊急防除区域内外ともにゼロ。緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島を含む)の誘殺ゼロは18週連続。これにより奄美市笠利地域同様、奄美大島全域が「特定移動制限区域以外」となり、移動制限区域が解除された。植防の検査に合格すれば、これから収穫を迎えるスモモ(収穫基準日は5月21日)などの島外出荷が可能になる。しかし気温上昇によりミカンコミバエが世代交代しやすい「危険期間」にあり、引き続き警戒や防除の積み重ねが必要だ。

 緊急防除区域の奄美大島の誘殺は、昨年12月15~21日の週に2匹(宇検村と瀬戸内町で1匹ずつ)確認されて以降ゼロが続いている。喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島の緊急防除区域以外は12月1~7日の週から21週連続の誘殺ゼロ。2月23~29日の週に1匹の誘殺(伊平屋島で)が確認された沖縄県も8週連続でゼロとなっている。

 奄美大島では、植物防疫法に基づく緊急防除による規制対象品目の移動規制(島外出荷禁止)が昨年12月13日から実施されているが、誘殺(オス成虫)の確認やメス成虫の活動による産卵状況から、幼虫が蛹=さなぎ=となり、羽化成虫の新たな世代の誕生(世代交代)は「4月中旬くらい」とみられていた。この期間を過ぎ、誘殺ゼロが1・2世代相当期間続いていることから、18週連続誘殺ゼロを受けて農水省は27日、特定移動制限区域以外を笠利地域だけでなく、奄美大島全域に拡大した。

 これまでの笠利地域同様、生産者などの申請により植物防疫所の移動検査を受け、合格すれば規制対象品目を島外出荷できる。ただし誘殺が確認された場合、その地点から半径5㌔以内は再び特定移動性制限区域となり、島外への移動が禁止される。誘殺ゼロが7月の上中旬あたりまで続けば「3世代相当期間誘殺ゼロ」と判断され、奄美大島の防除区域は解除され、全ての規制対象品目が自由に島外出荷できる。

 門司植物防疫所名瀬支所では、島外向け移動検査に関わる住民説明会を、スモモの出荷を控えた大和村を皮切りに26日まで奄美大島で実施。大型連休明けの5月9日と16日に大和村で移動検査が予定されている。島外移動は、▽生産者らが植防に移動検査を申請▽ほ場位置や梱包を確認▽合格証明書発行―という手続きを経て、検査に合格したほ場で生産されたもののみ、島外へ出荷できる。

 同省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「検査に合格すれば規制対象品目を島外に出荷できるが、決して規制が解除されたわけではない。誘殺が確認されると制限区域に戻ってしまう。奄美大島の移動規制解除に向けて現在が踏ん張りどころ」と指摘する。

 同省によると、奄美大島では3月下旬にも寄生果実が見つかっているという。オスの成虫の誘殺はゼロだが、メス成虫の活動を示していることになる。こうした産卵により今後、5月の大型連休中か連休明けにも世代交代の新たな成虫が出てくる可能性がある。規制解除は楽観できない状況にあり、引き続き十分に警戒しなければならない。

 なお、4度目となる県による航空防除(誘引薬剤と殺虫剤を含ませたテックス板投下)が19日から行われているが、県大島支庁農政普及課によると、26日までの投下枚数は6万1500枚。天候の関係で27日は中止となり、これまでのところ一日中投下できたのは19・20・25日で、24日は午前中(笠利方面)、26日は午後(瀬戸内方面)に行われた。5月8日までに14万枚投下を計画している。