コウモリ研究で来島

調査研究のために奄美大島入りした谷地森さんら

高知県の研究者ら
「最近の記録ほとんどない」

高知県須崎市のNPO法人四国自然史科学研究センターの谷地森秀二センター長(農学博士)らが30日、奄美大島の動物や昆虫などの調査のため、奄美大島入りした。初日は大和村を中心にコウモリなどについて調査。今後、瀬戸内町や加計呂麻島でも実施を予定している。

来島したのは谷地森さんのほか、高知県在住の動物や昆虫の研究者、獣医、高知大学学生など16人。哺乳動物を専門とする谷地森さんはコウモリ研究を目的に、15年ぶりに奄美大島に来島。環境省や県の捕獲許可を得て、コウモリの種類や生息状況などを調べるという。谷地森さんは「奄美では過去の記録で数種類の種が確認されている。しかし、1980年代以降の報告例がなく、最近の記録はほとんどないので、現状などを調べたい」としている。

調査ではハーフトラップやねぐらトラップなどを用いてコウモリを捕獲。夕方から明け方にかけて定期的にトラップをチェックし、かかったコウモリの体長や雄雌の判別などを記録した上で、野生に返すという。谷地森さんは「今が子育て中だと、雌などは判別しやすい。しかし、雨が降るとエサとなる昆虫が出なくなるので、調査は難しくなるが、滞在期間までめいっぱい調査に臨みたい」と語った。

調査期間は5日夜までを予定。夜間に行うコウモリ調査などはほぼ全員が参加。このほかそれぞれの専門研究はもちろん、夜の林道での観察会や日中の野鳥の観察などを計画している。

27日から奄美大島している一部メンバーもおり、「オニアジサシが見られた」など、集まると早速情報交換をする場面も。トラップの設置中も、周囲から聞こえる野鳥の鳴き声に耳を澄ませる場面があり、奄美の自然を満喫していた。