災害発生の体制確認

県の整備事業の進ちょく状況などを説明した一斉防災点検

行政担当者ら 河川・砂防事業を視察

 県大島支庁は26日、2016年度県下一斉防災点検を奄美市名瀬の与蓋川、龍郷町の加世間小川、戸口川で行った。同支庁建設課の担当職員が10年の奄美豪雨、11年の奄美北部豪雨の災害発生後、これまでの事業進ちょくなどを説明。奄美地方は梅雨時期に入り、今後土砂災害などが発生する可能性が高まることから、参加者らは災害発生の未然防止や災害発生時の情報提供体制などについて理解を深めた。

 一斉防災点検は災害発生時の避難誘導体制の整備が目的。同支庁や奄美市、龍郷町、大島地区消防組合などから約50人が参加し、防災施設の現地視察などを行った。

 担当者は10年の豪雨災害時に上流で土石流が発生した与蓋川について、「整備済みのえん堤により、全体の約3分の2にあたる6千立方㍍の土砂を捕捉し、下流域への流出が軽減した」と意義を強調。その後、砂防えん堤整備や渓流保全工を実施し、現在は通常砂防事業で砂防えん堤の整備を進めているとした。

 加世間地区では11年の豪雨災害による土砂災害で1人が犠牲になったことから、これまでに災害関連緊急砂防事業や特定緊急砂防事業を展開。隣接する流域も土砂災害発生リスクが高いことから、砂防えん堤の整備を進めている。

 10、11年の豪雨と2年連続で浸水被害が発生した龍郷町戸口の戸口川と大美川では、床上浸水対策特別緊急事業を実施。2河川の全体延長3・1㌔に渡り、河道掘削や築堤工、護岸工、橋梁架替を行っている。16年度が最終年度で、完成すれば計画水量は大美川で毎秒540㌧、戸口川は同180㌧となり、洪水前と比べそれぞれ約2倍、約3倍の流下能力となる見込みを報告した。

 鎮寺裕人大島支庁長は、県が行う事業の進ちょくが順調に進んでいる認識を示しつつも、「ハード整備で災害を全てカバーすることは難しい」と言及。県が提供する河川砂防情報システムなどソフト面とハード整備を合わせた防災の必要性を挙げ、「災害はどこで起こるか分からない。人命にかかわる災害にさせないためにも、行政の適格な情報発信で住民には早期避難していただくよう努めていきたい」と話した。