古仁屋方言を音声データベース化

古仁屋方言の音声データをまとめた松森教授(左)と協力した義永さん(右)

20160628 島口を音声データベースDVD
研究機関などに配布しているDVD

島口指導者 義永さんの全面協力で完成
日本女子大・松森教授

 奄美群島や沖縄地方の方言を研究する、日本女子大学文学部の松森晶子教授はこのほど、奄美の島口を音声データベース化したDVD「奄美諸島の表現と音声(1) 瀬戸内町古仁屋」を完成させた。DVDは地域の学校や教育機関に提供を検討している。

 松森教授によると、琉球語には奄美群島から沖縄本島までの「北琉球方言」、宮古から与那国までの「南琉球方言」に大別され、近年は琉球語への注目が高いことを指摘。特に消滅しつつある方言のアクセントや抑揚、発音のデータ化は急務として、良質な音声による記録・保存を目的に研究がスタートした

 今回の収録は、古仁屋方言に造詣が深く、地元で島詠汰(シマユムタ)教室を開くなど、島口指導の第一人者として知られる同町古仁屋の義永秀親さん(89)が発話者を担当。「遠足」「子ども」「生活」「島酒」「名瀬へ」などのテーマごとに317文例の音声を収録。▽昨年は大きな台風がたくさん来たな(くどぅや・ふてさん・まんでぃ・ちゃあやあ)▽名瀬まで4時間かかっていた時もあったよ(なせがでぃ・よじかぬむかあゆたん・ちきむあたど)▽昨日買った酒は本当に高かった(きにゅうこうたん・すぃへぇぇや・ふんとたはすたど)―など日常会話を聞くことができる。

 4年前、松森教授の研究協力を快諾した義永さんは、全ての文例の発音とアクセントを確認し、「幼少の頃を思い出しながら、納得いくまで1文当たり10回は読み上げた」と振り返り、今年3月、データベースが完成したことを喜ぶ。

 松森教授は「当時の言葉を理解し、現代語との翻訳ができる人材は少ない。義永さんの全面協力あってこそ、研究が完成できた」と述べ、今後徳之島などでの研究を示唆。方言教育や方言保存運動など地域学習への活用に期待感を示している。

 研究に関する問い合わせは、℡03―5981―3547(同大学学科研究室)まで。