夜明かし「夏目踊り」

夜明かしの歌踊りで活気に包まれた徳之島町井之川「夏目踊り」=21日午前0時半ごろ

徳之島町井之川、伝統を堅持

 【徳之島】徳之島町井之川集落(保和廣区長、206世帯・421人)の一大伝統行事「浜下=う=り」が20―21日にあった。住民たちは20日夕、海岸部で宴を開いて絆を確認。午後10時すぎから名物の「井之川夏目踊り」(県指定無形民俗文化財)が行われ、情熱的な掛け合いの伝統歌謡や太鼓、手拍子にのせた夜明かしの踊りで家々を訪問した。

 ニライカナイ信仰や祖霊祭祀=し=、稲作の豊作祈願などが結びついた複合的な祭りとされる。かつては旧盆後の丙=ひのえ=・丁=ひのと=・戊=つちのえ=の3日間開催、「夏目踊り」は丁の夜から行われた。一夜越しの行事を守るため数年前から、月遅れ盆後の直近の土・日曜日に定着させている。

 日差しが和らいだ20日夕、一重一瓶を手にした住民らが三々五々海岸線に繰り出した。それぞれの先祖伝来の一画には「浜ヤドリ(小屋)」をかたどって親類縁者ごとに陣取り、焼酎やビールを酌み交わしながら親睦を深め合った。

 そして海岸から帰宅して一段落ついた午後10時すぎ、集落小組合の3班(宝島・伊宝・佐渡)それぞれの踊り連で夏目踊りがスタート。「どんどん節」など道行き唄も歌いながら、希望する1軒1軒の庭先を訪問して、男女掛け合いのハーモニーが美しい「あったら七月」など情熱的で律動的な歌踊りを披露。〝来訪神的〟な踊り連一行には返礼のタオルとともに大人には酒類、未成年者たちにはお菓子や飲み物などが振る舞われた。

 島内各地からの見物客たちも交え精力的な家回りは21日午前9時ごろまで一夜越しで続いた。帰省中の学生ら若者の参加も目立った