県内初、奄美大島で車座対話

福祉や農業、観光など代表者要望

三反園知事来島「大きなポテンシャル持つ島」

三反園訓知事の就任後初めての開催となる「知事と語ろう車座対話」が12日、奄美大島の2会場で行われた。宇検村と奄美市で開かれた車座対話には、奄美大島5市町村の各分野で活躍する人や区長らが参加。県や国に対する要望などを伝え、三反園知事も「奄美は大きなポテンシャルを持つ島だと思っている。車座を県内すべての市町村で行うのは時間がかかると思うが、奄美大島には毎年来て、みなさんの声を聞きたい」と語った。

三反園知事による車座対話が行われるのは奄美大島が初。三反園知事は「奄美は力強く成長すると思ったので最初に来た。島のハンディという言葉はあるが、そうではなく、島というのはチャンスがある。島の魅力を生かして観光・農業を進めたいので、奄美に来て、みなさんの意見を真っ先に聞くべきだと思った」と説明した。

車座対話は午前中、宇検村の湯湾会館で行われ、同村・瀬戸内町・大和村の3町村の代表者24人が参加。参加者からは「地方は出産、子育てがしにくい環境。産院がなく、妊婦健診のたびに奄美市まで行かなければならないのは、金銭的にも負担。さらに、2~3人目の子どもとなると、上の子を預ける場所も必要になる」「自宅介護をしていた時から、一時預かりしてくれるような『宅老所』を作ってほしいと思っていた。これから高齢化がどんどん進む。県として考えてほしい」と子育てや福祉面に関して要望。また、観光部分として「北大島に来る人と、そこから1時間かけて宇検村に来る人は観光地として望むことが違う。今までにない、奄美独自の観光プランを考えてほしい」と訴える場面もあった。

奄美市老人福祉会館では、奄美市と龍郷町の代表者23人が参加。トンネル整備などの公共事業、福祉分野の人材育成、観光プラン、自然保護などに関してさまざまな意見が寄せられた。農業関係では、「ミカンコミバエ問題により、タンカンやポンカンの出荷が出来なかった。二度と起きないよう県でも対策してほしい」「情報開示してもらうことで、農家も対応・協力が出来るはず」という意見も寄せられた。

各会場の対話では、三反園知事が一通りの意見を聞き、最後にそれぞれの質問や要望に対してコメント。「大島支庁などを通じて、みなさんの声が私に届くようにしているので、みなさんには『どうせ変わらない』という考えは捨ててほしい。すぐできること、時間をかけて取り組まなければならないことをきちんと分けて取り組んでいく」と語った。

今回の来島では、奄美市と宇検村の2カ所での車座対話のほか、金作原原生林の現地視察や5市町村長・議員らとの意見交換会も行った。