秋高校野球

【2回戦・奄美―隼人工】粘りの力投で完投勝ちした奄美のエース蔵=姶良

秋高校野球第4日
奄美 隼人工に逆転勝ち
喜界は完封負け

【鹿児島】第139回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第4日は25日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、姶良市の姶良、3球場で2回戦8試合があった。

奄美勢は、奄美が隼人工に2点ビハインドから七回の集中打で3―2と逆転勝ち。喜界は夏に続いて2大会連続で曽於と対戦したが0―4で完封負けだった。

第5日は26日、3球場で2回戦8試合がある。奄美勢は徳之島が伊集院と対戦する。

我慢で悪い流れ、断ち切る
奄美

【2回戦・奄美―隼人工】7回裏奄美二死二三塁、逆転の二塁打を放った4番・中原(左)=姶良

秋高校野球ハイライト

初回から六回まで4度出した先頭打者を生かせず。良い当たりは正面を突く。相手には少ない好機をものにされる…「リラックスできず、悪い流れ」(下野政幸監督)が終盤まで奄美に漂っていた。

「いつか打てるときはくる」

下野監督は言い続けた。それまでは、我慢してやるべきことを淡々とやるだけだ。

六回、先頭打者にランニング本塁打を浴び、なお一三塁とピンチを招く。「最少失点で切り抜ける」と捕手・中原勇将は二盗を落ち着いて刺し、「(蔵)大樹の直球を信じて」直球を要求し、空振り三振で切り抜けた。

七回、先頭打者が出塁しながら、またしても次打者で先の塁に進めなかったが、2番・傳主将、3番・豊山がヒットでつないで待望の1点をもぎ取る。なお二三塁と一打逆転の好機に4番・中原に打順が回る。「応援してくれる人のためにも結果で恩返し」と決意を秘め、「外野が下がっていたので、単打でも2点入る」とコンパクトなスイングを心掛けると、打球が左中間を抜け、初の長打で逆転に成功した。

「どんな場面でも自分を貫き元気のあるプレーが持ち味。それを出し切ってくれた」と下野監督。何より「バッテリーを中心にしてよく我慢してくれた」ことを最大の勝因に挙げていた。
(政純一郎)

秋高校野球戦評

【評】奄美は初回から二回を除いて毎回走者を出して得点圏に進めるも、得点ならず。三回に犠飛、六回はランニング本塁打で追加点を許し、2点ビハインドで終盤を迎える。七回二死一三塁の好機に3番・豊山が右前適時打でようやく得点を挙げると、4番・中原が左越えの2点適時二塁打で逆転した。八、九回は我慢の投球を続けたエース蔵が三者凡退で切り抜け、1点差で競り勝った。

【評】1点を追いかける喜界は五回、二死二塁から7番・吉崎がチーム初安打となる右前打を放ち、一三塁と好機を作ったが、一走・吉崎が二盗に失敗し、生かせなかった。七回表、ヒットと野選で無死一二塁とピンチを招き、二死までこぎつけたが、4番・山ノ内に右前に落ちる2点適時打を浴びた。九回にも追加点を許し、その裏、無死一二塁と最後の得点機を作ったが中軸が打ち取られ、3安打完封負けだった。

喜界・中馬輝監督 「夏と同じ相手ということを意識すると肩に力が入ってしまうので、『夏の練習の成果を出そう』と送り出したが、3安打しか打てずやはり肩に力が入ってしまった。やってきたことがこの場で出せるよう、冬場もう一度鍛え直しです」

【2回戦・曽於―喜界】7回まで3失点と好投した喜界の先発・竹下=県立鴨池