外来魚・ジルテラピア駆除

大美川に設置した網にかかったジルテラピア

龍郷町大美川 在来生物の生息環境保護
海洋生物研

奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は29日、2016年度水生移入生物分布調査及び駆除事業(奄美大島自然保護協議会)の委託を受け、龍郷町大美川で移入生物である外来魚(ジルテラピア)の駆除作業を行った。同川での作業が6回目となる今回は、網などを使って32匹を捕獲。興会長は「地元のみなさんにも、身近な環境に外来種(移入生物)がいることを知ってもらいたい」としている。

駆除作業は龍郷町のほか、奄美市住用町と宇検村でも実施。移入生物の現状の周知や、在来生物の保全、移入生物の分布拡大を防ぐことが目的。各市町村全9回ずつの日程で、ジルテラピアやコイなどの外来魚の駆除を行っている。

興会長によると、ジルテラピアはマダイの代用品として全国的に養殖が進められており、養殖所から逃げ出した個体などが河川で繁殖したとみられるという。大美川にはユゴイやミナミクロダイなども生息しており、ジルテラピアがいることでエサや生息環境の取り合いが発生する。

今回の作業では大美橋下の堰の側に網を設置。ジルテラピアを追い込んで捕獲した。捕獲したジルテラピアは大きなもので45㌢・1・7㌔ほど。興会長は「外来魚は繁殖力が強く、本来の優先種が成り代わってしまう。また、堰のあるところは外来魚が大発生しやすい。上流に行けば在来の肉食魚(オオウナギなど)により大発生とまではいかなくなるのでは」と語った。

龍郷町生活環境課の小林淳一さんは「人によって持ち込まれたものが野外で繁殖した結果。地元自治体として、奄美固有の生き物の生息環境回復を目的に実施した作業。世界自然遺産登録への機運も高まっているなか、一丸となって取り組みを進めていきたい。地域のみなさんにも、飼っているペットの終生飼養・適正飼養をお願いしたい。こうした取り組みが自然保護につながる」と話した。