大河ドラマ「西郷どん」

原口館長(左端)を表敬訪問した伊地知町長(右端)ら

「明治維新のスローガン奄美で」
伊地知和泊町長ら表敬訪問で原口館長

 【鹿児島】2018年のNHK大河ドラマが西郷隆盛を主人公とする「西郷=せご=どん」に決定したことを受けて、和泊町の伊地知実利町長らが29日、時代考証を担当する県立図書館(鹿児島市)の原口泉館長を表敬訪問した。

 訪問したのは伊地知町長と和泊西郷南洲顕彰会の竿田富夫名誉会長、鹿児島沖洲会の前原隆鋼会長の3人。「西郷どん」について原口館長は「奄美が本格的な舞台となる初めての大河になる」と力説し「西郷が明治維新で掲げた『四民平等』『万国対峙』のスローガンは奄美で生まれた」と自説を語った。

 原口館長によると、明治維新の立役者・西郷にとって「奄美大島での3年間、徳之島・沖永良部島で過ごした2年間が人格形成に大きく影響した」という。奄美大島で薩摩藩の砂糖専売制に苦しむ島民の現状に接して「四民平等」の思想が生まれ、沖永良部滞在中に薩英戦争が起きたことから西欧列強から自国を守る「万国対峙」につながった。「敬天愛人の思想も沖永良部で生まれたのではないか」と原口館長は話し、「話し言葉や風習などディテールの部分は、島の人でなければ分からないことが多い。ぜひ協力して欲しい」と要請した。

 伊地知町長は「今回のドラマは奄美全体が舞台になる。奄美を全国、世界に発信していく絶好の機会になる」と期待を寄せた。ドラマの原作は林真理子氏が現在「本の旅人」(KADOKAWA)にて連載中。脚本は「Doctor―X外科医・大門未知子」「花子とアン」などを手掛けた中園ミホ氏が担当する。ドラマは17年夏にクランクイン予定。原口館長によると西郷の家族にもスポットを当てたドラマになるため、奄美出身の妻・愛加那、長男・菊次郎らが重要な登場人物になるという。
     (政純一郎)