「ヤッコソウ」開花

多くの群生地がある奄美自然観察の森では「ヤッコソウ」の開花の様子を観察することができる(西康範さん撮影)

観察の森 ひょっこり愛らしく

晩秋の森の主役お目見え――。龍郷町長雲峠にある奄美自然観察の森では、寄主植物の「ヤッコソウ」が開花している。ひょっこりと姿を現した愛らしい様子を奄美市名瀬の西康範さんが撮影した。

ヤッコソウはイタジイ(シイの木)の根に寄生。栄養体は寄主植物の体内にあり、イタジイから養分をとって群生する。

四国や九州南部、南西諸島にかけて分布。葉緑素を持たないため花茎は乳白色をしており、高さは最大でも7㌢程度で、一般的には3㌢ほどしかない。両手を広げたような姿が大名行列の「やっこ」と似ていることから、その名がついたとされている。

指導員の川畑力さんによると、観察の森はヤッコソウの群生地の多さで知られているという。整備された遊歩道の脇だけでも20カ所以上あり、遊歩道部分から安全に観察しやすいため適値だ。

例年、8月頃からイボ状の花芽が地表に姿を現し、9月に割れ、10月におしべが伸び出す。11月中旬から開き始め、20日前後から見頃を迎える。今年の場合、最高気温でも15度前後にしか上がらないなど冷え込みがみられた11月下旬に入り見頃となったという。12月中旬まで観察できる見通し。「遊歩道の斜面だけでなく地面の方に群生している箇所もある。踏んだりすることがないよう、気をつけて観察を楽しんでほしい」(川畑さん)。