東京奄美会青年部ソフトボール大会

和気あいあいのムードの開会式で選手宣誓をする喜界チームの岡本大成さん

熱戦の予選。喜界(攻撃)対徳之島の様子

見事2連覇を果たした喜界チームの面々。左から佐田晃久さん、監督の原田尚樹さん、主将の宮元大輔さん

鋭いスイングで打球をはじく喜界チームの佐田晃久さん

勝利の行方を左右する緩急の行方はどこに…=名瀬(守備)対龍郷の試合の様子

贈呈されたユニホームでのうれしい栄冠
喜界チーム

【東京】「すっとごれ」の精神でソフトボール対決――。東京足立区の舎人公園で23日、「第16回東京奄美会青年部ソフトボール大会」が開催された。九つの地域出身者らは、家族の声援を受け、交流ムードの中、好プレー、珍プレーを展開。優勝したのは喜界チーム。東京喜界会の先輩らから昨年贈呈されたユニホームでの、うれしい栄冠だった。

低い雲、降雪も予想されるほどの寒空の下に徳之島、名瀬、龍郷、喜界、笠利、瀬戸内、三村、与論、沖州の9チームが集結。そろいのユニホームのチームに交じり、ジャージにゼッケンの姿も。筋肉隆々な若者からお腹周りが気になる中高年世代までの男女が白球を追い掛けた。

前年優勝の喜界チーム、岡本大成さんの選手宣誓の後、「ルリカケス」「アカヒゲ」「アカショウビン」の3ブロックに分かれ、総当たりの予選、準決勝、決勝戦が行われた。優勝候補の名瀬、喜界には高校野球経験者がずらり。なかでも、佐田晃久さん(喜界)は第87回夏の甲子園で樟南のエースとしてベスト8に進出した逸材。肩を壊しプロの夢は断念したが、仕事の傍ら軟式野球を続けている。この日も鋭い打球で本塁打 、華麗な守備を披露している。

決勝は昨年と同じ、喜界と名瀬の顔合わせとなった。宮元大輔主将の元でチームがまとまった喜界が、5―1で名瀬を退け2年連続の雄叫びとなった。監督の原田尚樹さんは、その瞬間、喜びと共に東京喜界会の先輩たちへの感謝の気持ちでいっぱいになった。1年前、常勝チームの名瀬を撃破し、念願の初優勝を果たした。ところが、この時、チームはジャージだったり、ユニホームはてんでばらばら。見かねた東京喜界会の先輩や在京喜界出身者有志らがユニホームを贈呈していたのだった。「大先輩方の素晴らしい思いにチームが一丸となり、優勝できた。今後も奄美群島と喜界島を東京から盛り上げられるよう、青年部側も頑張りたい」。そろいのユニホームでの初優勝は、格別だったに違いない。

16回を重ねる今大会の基は、名瀬の監督・中濱実さんと東京瀬戸内会の久原卓也さんが、24年前に作り現在も続く「すっとごれリーグ」だ。当時、奄美会への若い世代の参加者が少ないことを危惧した中濱さんらには、「野球を通じて若者が交流し、いつか奄美会に参加してほしい」との思いがあった。その後、各会と奄美会の両方の若者を集めるために「女性や年配者でもできるソフトボールにしよう」と決定。以来、球場の手配、運営を同リーグが協賛している。「すっとごれ」は、奄美の方言で「なにくそ!」の意味。この日、予選や決勝で敗れたチームの選手たちも、職場や家庭などで「負けてたまるか」と、勝利を目指すことだろう。