古仁屋先制も実らず

【2回戦・古仁屋―川辺】1回表一死三塁、4番・恵が先制の犠飛を放つ=県立鴨池

夏高校野球第6日

【鹿児島】第98回全国高校野球選手権鹿児島大会第6日は7日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民の両球場で2回戦6試合があった。
奄美勢は古仁屋が川辺と対戦。初回に先制し、中盤も追加点を奪う粘りを見せたが、3―10で七回コールド負けだった。
第7日は8日、両球場で2回戦6試合がある。奄美勢は樟南二が甲南と対戦する。

試合結果は次の通り

◇2回戦 =県立鴨池=
古仁屋
1000200 3
4301002 10
川辺
  (7回コールド)
【古】岩井、宮之原―永井
【川】菊永―飯野公
 ▽二塁打 東雅(川)▽三塁打 徳田(古)

【評】古仁屋は初回、敵失で出塁した1番・徳田が盗塁を決め、犠打と四球で一死一三塁とすると、4番・恵の犠飛で先制した。その裏、エラーなども絡んで逆転され、四回までに1―8と大差をつけられた。7点差を追いかける五回、敵失で1点を返し、なお一死三塁で4番・恵の適時内野安打で加点。2点を返して後半に勝負をつないだ。二回から2番手・宮之原の好投で、終盤勝負に持ち込みかけたが、七回に集中打を浴び、7点差がついてコールド負けだった。

素人チーム、成長の跡示す
「忘れられない思い出に」 古仁屋
 コールド負けは「正直悔しい」(山本涼太主将)。負けたこと以上に序盤の大量失点の大半に「エラーや四死球、自分たちのミスが絡んでしまった」ことが悔やまれた。だが、ほぼ同じメンバーで臨んだ昨夏の初戦は0―27、内野安打1本しか打てなかった。今年は失点が17減り、3点取った。竹山英輔監督は「3人の3年生を中心に、成長を示してくれた」と胸を張って言える試合だった。

初回は先頭が出て4番で返す「理想的なかたち」(竹山監督))で先制できた。序盤に大量失点で逆転されたが、2番手の1年生・宮之原が丁寧な投球で守備のリズムを立て直した。五回は足で揺さぶり、相手のミスも絡んで2点を返すこともできた。

引き締まった野球ができるようになったのは、4人の経験者を含む「6人の1年生の加入が大きい」(竹山監督)。2安打2盗塁と活躍した1番・徳田や好リリーフした宮之原ら、中学で野球をやっていた部員が入ったことでチームが活気づいた。「地域密着」を掲げる学校の方針と、多くの人の協力があって実現したことだ。

それ以上に竹山監督は山本主将、花田、会田の「野球素人の3年生3人がちゃんと野球を続けてチームをつないでくれた」ことに感謝する。練習の段取りも分からず、キャッチボールもまともにできなかった。昨夏は8泊9日の鹿児島合宿を組み、他校に学ぶことからのスタートだった。

山本主将は、中学時代は途中までバスケットボール部だったが、辞めてから運動はしていなかった。友人に誘われて高校から始めた野球部は「覚えることがたくさんあって大変だった」と振り返る。それでも「仲間と一緒に試合ができて、一生忘れられない思い出になった」と感極まっていた。(政純一郎)

「地元の学校で県大会勝利を」
古仁屋・徳田竜希遊撃手


1年生ながら2安打2盗塁、リードオフマンとして2度の得点機の口火を切るなど、高校初めての県大会で存在感を示した。

初回はファーストストライクを果敢に打って、敵失を誘った。2球目で意表を突く盗塁を決める。「左投手なのでリードが取りやすかった」。スタートはやや遅れたが、俊足を飛ばして滑り込みセーフ。4番・恵の犠飛で先制のホームを踏んだ。

2打席目は初球で「ど真ん中の直球が来たので」迷わず振り抜き、左中間を深々と破る三塁打を放った。五回の3打席目も先頭打者で左前打を放ち、今度は三盗を決めた。3番・中江の遊ゴロでスタートは切らなかったが、相手がミスしたのを見て「何としても1点欲しかった」と思い切り本塁に突っ込む。果敢な走塁が更に相手のミスを誘い、3点目にもつながった。

打撃ではチームに貢献できたが、守備では「エラーが多かった」ことを反省する。七回、コールド負けのきっかけになる最初の打球は、記録上は内野安打だが、グローブに一度収まっていただけに、何とかできたのではないかと悔やまれた。

古仁屋中時代には県大会出場経験もある。高校で野球を続けるにはいろいろな選択肢がある中で「地元の学校で県大会勝利を目指す」ことに魅力を感じて、古仁屋に進学した。最初の夏、その目標を達成できなかった。これまでチームを支えてくれた3年生のためにも、今度の秋こそはやり遂げたいと気合が入る。「元気で明るいチーム」の一員であることに誇りを感じて。(政純一郎)