16年度テッポウユリ切花シンポ

切花産地の課題解決に向け意見を交わしたシンポジウム=知名町=

安定供給体制求める
生産者や市場関係者が意見交換

【沖永良部】2016年度テッポウユリ切花シンポジウム(知名町主催)が24日、同町フローラル館であった。産地の課題解決に向け、市場関係者が安定供給体制を確立するよう要請。さらに「マーケットに合わせた柔軟な対応が必要」「ヒノモトの色のバリエーションを増やせないか」などの意見が出た。 

シンポジウムは、切花産地の課題解決や産地と市場間の情報共有を図ることが目的。両町役場や市場関係者、島内生産者、ユリ産地の土佐市花卉農業協同組合など約50人が参加した。

討議内容は▽テッポウユリを取り巻く状況▽今後の課題の抽出▽課題解決に向けた取り組み―の3点。最初に、沖永良部における過去20年間(1995~2015年)のテッポウユリ農家戸数と出荷量の推移について県沖永良部事務所職員が説明。「ピークの頃からすると、1戸あたりの量は増えているが、農家戸数は3分の1程度に減少している」と述べた。 

テッポウユリに関して市場関係者は「高齢化で葬儀をこじんまりとするようになった。結婚式も披露宴からパーティー形式へ変わり、大きなマーケットだった部分が弱くなっている」「鹿児島産は、気候変動の影響で必要な時に安心して購入できない」「冬場の産地として供給量が足りていない。沖永良部産の数量を確保していかないと、テッポウユリ以外の品目に変わってしまう」「産地が限られているので、露出率が低い」などの問題点を指摘。

販売戦略については「一般消費者が積極的に花を買うための『コト作り』が大切になってきた」「仏花のイメージが強い。洋花としての需要形態が出来れば、より多くの場面で使ってもらえる」などと提案し、ブライダルでの使用では「オリエンタルの香りが強く、花嫁の好みでテッポウユリを使う花屋が多くなっている。テッポウユリに色のバリエーションを増やせないか」との要望もあった。

このほか、参加者から「球根を一生懸命作らないと良い花にはならない。原点を大切にする取り組みが急務」「マーケットが求めているものを作れるよう柔軟な体制が必要では」との声も上がった。
 総括では、県農業開発総合センター普及情報課の今和泉尋及氏が「責任をもって供給する意識がないと信頼関係はできない。その差が産地の強弱になる。買ってくれる人のために何をやるべきかを考えてほしい」と語った。