西郷上陸記念祭を初開催

オープニングセレモニーでは番屋の海岸で西郷到着のシーンが再現された

西郷上陸②
講演する大江教授

上陸シーン再現、大江氏講演も
龍郷町・西郷塾 功績に思い馳せる

 龍郷町の公民館講座「志塾・西郷塾」(久保明雄塾長)主催による第1回「西郷南洲翁上陸記念祭」が26日、同町で開催された。西郷南洲上陸の地とされる番屋でオープニングセレモニー、龍郷小では志學館大学・原口泉教授によるあいさつ、東京理科大学・大江修三教授の講演など通して、龍郷の地が育んだ偉人・西郷南洲を学び、その功績に思いを馳せた。

 来年にNHK大河ドラマ「西郷どん」の放送が決定し、西郷南洲への関心が高まりつつある中、同イベントは「地元龍郷の人たちにもっと西郷隆盛や妻の愛加那、子の菊次郎、菊草について知ってもらう機会にしたい」(久保塾長)と同町の協力を得て初開催。町内を中心に多くの人が参加した。

 西郷は1859年旧暦の1月(新暦の2月)、砂糖積船で龍郷湾阿丹崎港に上陸したとされ、記念祭はこの時期に合わせて開催。セレモニーでは雨が降る中、板付き舟に乗った西郷が上陸するシーンを再現。海岸では美玉新行、木場伝内、得藤長ら歴史上の人物が西郷の到着を迎え、その後、愛加那役の女性も登場し、西郷と対面を果たした。

 来賓あいさつした原口教授は「『西郷どん』が奄美の地、この龍郷の地に上陸したことが日本にとっての幸せだった。約160年前、(西郷が)この地に上陸したその日から日本の歴史は大きく変わった。私たちがそれを受け継ぎ、きょうを新たなスタートの日にしよう」などと述べた。

 当初の予定ではその後、小浜の住居跡地など西郷ゆかりの地を参加者が徒歩で巡る予定だったが、悪天候のため省略し、講演会場の龍郷小体育館へと移動。

 大江教授が「故郷龍郷への思い」をテーマに講演。自然の豊かさや、おもてなし精神など人の温かさを、自身のルーツも紹介しながら伝えるとともに、西郷ゆかりの地をはじめ歴史的な価値のある地域資源など活用した故郷の振興に期待を寄せた。

 実行委員長を務めた久保塾長は「雨で予定が一部変更となり参加者に申し訳なかったが、当時も雨の日に上陸したと言われており、その意味では(雨で)ちょうど良かった」「上陸記念祭を機に、明治維新の立役者である西郷と龍郷の関わりを多くの人に知ってもらえたら」と話した。