地域歯科口腔保健推進会議

活発な意見交換が行われた

フッ化物洗口の啓発を
1歳6カ月児の有病率改善

 2016年度地域歯科口腔保健推進会議が28日、奄美市名瀬の奄美会館であった。名瀬保健所管内の歯科保健の現状報告や12年度末に県が策定した県歯科口腔保健計画の概要説明、16年度の各市町村や関係機関の取り組みを報告。県や全国と比べて高いむし歯有病率の改善に向け、住民に対する歯科医療の重要性とフッ化物洗口の有効性の啓発など、各世代に対応する口腔保健について意見交換し、在宅歯科医療の推進や医科歯科連携、多職種連携の強化を確認した。

 協議の前に委員紹介が行われ、今年度から奄美薬剤師会長と県老人福祉施設協議会大島支部代表が新たに委員に委嘱され、会議に参加することが事務局から報告された。

 同計画では「口腔の健康の保持・増進に関する健康格差の縮小」を基本理念に、▽歯科疾患の予防・口腔機能の維持向上▽定期的に歯科検診または歯科医療を受けることが困難な人に対する歯科口腔保健の推進▽医科歯科連携・多職種連携の推進―などの施策を定めている。

 報告によると、15年度の管内1歳6カ月児歯科検診むし歯有病者率は、宇検村と瀬戸内町と喜界町が0%。奄美市も1・1%で県平均(2・7%)を下回ったが、龍郷町(5・0%)、大和村(12・5%)は上回った。だが、3歳児検診では急激に数値が増加し、県平均(22%)に対する管内平均は35・7%と高くなっている。

 フッ化物洗口に関して、奄美市と宇検村の保育園や瀬戸内町の幼稚園は100%の実施率で、管内全体では保育園(84・2%)、幼稚園(20%)にとどまる。

 1歳6カ月児の有病者率は、ここ3年間で県平均を下回る状況に改善しているが、3歳児検診で数値が悪化しているため会では、保護者に対する歯科保健指導の充実が課題であると報告された。特にむし歯のあるきょうだいがいる家庭では、そのきょうだいもむし歯になるリスクが高いことから、こうした家庭に対する働きかけの強化を確認。

 乳幼児期の予防に①フッ化物洗口の推進②歯科検診の充実③食習慣や口腔機能獲得に悪影響を及ぼす習癖等の改善―などに取り組む一方、治療を放置する保護者の意識向上や妊娠期からの歯科検診の受診勧奨の取り組み強化を確認した。

 このほか各世代に応じた施策の説明や、各世代での課題について意見交換が行われ、委員からは「意識の高い母親とそうでない母親の子どもで、むし歯の二極化がみられる」「治療率の向上に取り組むが、共働きの家庭など時間が取れない家庭もある」「フッ化物洗口の有効性の啓発に取り組みたい」などの意見があった。