トレイル選定17年度4町村で

活発な意見交換が行われた第2回奄美大島森林・公共事業部会

奄美大島第2回部会
自然環境配慮した公共事業推進

県自然保護課は22日、2016年度奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会の奄美大島第2回森林・公共事業部会と自然利用部会を奄美市名瀬の奄美会館で開いた。自然環境に配慮した公共事業の取り組みや、選定した奄美世界自然遺産トレイル(仮)について活発な意見交換が行われた。23日には、天城町で徳之島部会が開かれる。

第1回の各部会は、昨年11月14日に開催された。今回の森林・公共事業部会では、世界自然遺産の緩衝地帯や周辺地域における森林施業のあり方について、希少種への配慮を重要とする方針が出された。

そのため緩衝機能の強化と林業を両立させるための生物多様性保全型の森林施業ルールを確立し地域で共有するとした。方針には貴重な動植物や、絶滅危惧種の保護の項目も盛り込まれている。

協議では、自然保護関係団体から保存林の基準案について、「河川からの距離などにもう少し配慮してほしい」との意見があった。同部会では、今後も奄美の生物多様性に配慮した市町村有林の管理計画策定に向けて調整を図るとした。

続いて、行われた自然利用部会では、今年度選定した奄美世界自然遺産トレイル(仮)が紹介されて、コースの選定指針やトレイル運用指針を説明。16年度に選定された奄美市住用町・伊仙町・和泊町・知名町のトレイルマップの見本も提示された。コース選定の手法として▽ステップ1ありのままの奄美を体感できる「道」を挙げる▽ステップ2ロングトレイルとしてのつながりを検討▽ステップ3魅力が十分にあるか、安全・安心に歩けるか現地確認―を解説。現地確認し妥当でなかったらステップ1からコース選定をやり直すとした。

マップの表示について、奄美市住用支所の茂木幸生産業建設課長は、タンギョの滝について、タンギョは方言で何箇所もタンギョがあるとし「トレイルマップのタンギョの滝は、地名を付けて『神屋タンギョの滝』と表記してほしい」と提案。奄美自然環境研究会の常田守会長も、「過去に同地で観察会を実施したところ参加者で別のタンギョに行った人がいたのでいい提案だ」と賛意を示した。

同部会は、17年度について宇検村、喜界町、徳之島町、与論町で新コースを選定し、16年度に選定したトレイルコースの開通関連事業やマップ印刷・配布を計画している。利用の適正化については、金作原と市道スタルマタ線および山クビリ線の利用状況を分析。金作原では森林体験、市道スタルマタ線および山クビリ線ではアマミノクロウサギなどのナイトツアーが中心だった。課題として、車両のすれ違いや駐車による脱輪などのトラブルや、利用規制の実施期間の検討を挙げた。

同部会は2月20日に、第1回奄美大島利用適正化連絡会議を設立し、奄美大島での利用調整のルールを検討するために協議した。林野庁の名瀬森林事務所は、連絡会議の意見を踏まえて今月21日、金作原の林道入口へゲートと標識を設置した。同事務所の井川武史首席森林官は「ゲートを設置することで、車両制限や入場に認定ガイド同行を義務付ける」と目的を説明した。