ルール守って自然体験を

金作原林道のゲート施錠を行った林野庁の井川首席森林官

金作原林道ゲート施錠
車両進入規制 世界自然遺産の候補地

 鹿児島森林管理署(林野庁)は25日、奄美市名瀬朝戸の金作原国有林の林道起点と終点のゲート施錠を実施した。同管理署名瀬森林事務所は、ゲート施錠を希少野生動植物の保護と車両進入規制のためとしている。エコツアーガイドからも、今回の措置を肯定する意見が聞かれた。

 金作原国有林は、林野庁の奄美群島森林生態系保護地域。同林道は、3月7日に指定された奄美群島国立公園の第一種特別地域で、世界自然遺産候補地になっている。

 林道の延長は約3・8㌔㍍。市道中央線側の起点に幅4㍍、終点に幅3㍍で高さ1㍍のゲートを3月21日に設置。あわせて車両進入禁止の標識も、日本語に加えて英語、韓国語の3カ国語表記のものに切り替えられて設置されていた。

 ゲートの鍵については、同事務所が環境省や奄美市などに合鍵を貸し出すとしている。車両の通行規制は、一般車両が対象。学術目的や緊急車両、同事務所で申請し許可を得た車両は通行可能となる。今回の措置で規制されるのは車両の進入で、従来と同様に人の通行は対象ではない。

 ゲートの施錠は、基本24時間365日行われる。施錠の目的を同事務所の井川武史首席森林官は、「盗採防止や車両進入による希少植物などの踏み付け、その他のトラブル防止のため」と説明。ゴールデンウィークで多数の来場が予想される金作原について、「金作原には素晴らしい自然がある。ルールを守って自然を満喫してほしい」と語った。

 奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長は、今回のゲート施錠を、林道路肩の希少植物などの被害が減るだろうと肯定する。喜島会長は、「以前から林道内で、4輪駆動車が通行した跡などで路肩の植物がやられていた」と話し、「今回の措置でエビネなどの希少種の盗掘も減るのでは」とその効果を期待している。