有効求人倍率初の1倍

すべての求職者に求人
新規、官公庁求人が押し上げ
名瀬職安3月

 名瀬職安(里村秀一郎所長)は28日、3月の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は前年同月を0・16ポイント上回る1・00倍で、前月も0・03ポイント上回った。有効求人倍率が1倍となったのは初めて。すべての求職者に求人があることになり、雇用環境の好天を示している。ただし新規求人を産業別にみると市町村役場など官公庁からの求人である公務が最も多く全体の3割を占め大幅に伸びており、期間限定の臨時的雇用のため一時的な要素もある。

 求人動向(パートを含む)は、新規求人数は771人、前年同月比22・6%増で、11カ月連続の増加。産業別に前年同月比でみると、卸売業、小売業(12・5%減)は2カ月連続の減少、医療、福祉業(31・9%増)は4カ月連続の増加、公務(109・1%増)は5カ月連続の増加、運輸業、郵便業(40・0%増)は3カ月連続の増加、製造業(22・2%減)は5カ月ぶりに減少、サービス業(54・5%減)は5カ月ぶりに減少、建設業(55・2%増)は6カ月連続の増加、宿泊業、飲食サービス業(2・8%増)は2カ月連続の増加となった。

 求職の動き(パートを含む)は、新規求職者数568人、前年同月比6・8%増は2カ月連続の増加。新規常用求職者について態様別に前年同月比でみると、離職求職者(5・9%増)は2カ月連続の増加、在職求職者(12・7%増)も2カ月連続の増加、無業求職者(0・0%)は同数。

 新規常用求職者の中の離職求職者の内訳をみると、事業主都合離職者(8・3%増)は2カ月連続の増加、自己都合離職者(4・2%増)は2カ月ぶりの増加となった。

 有効求人数(1980人)、有効求職者数(1987人)となり、ほぼ同数となっている。

 管内の有効求人倍率が1倍に達したことについて、同職安は「3月の新規求人数では公務(230人)が最も多く、出先機関である徳之島を含めて求人が目立った。前年同月比では大幅増となり、公務求人の増加が新規求人数を押し上げた。これに次ぐのが、全国的にみても人手不足が顕著な介護を含む医療、福祉業(178人)の求人。この求人の伸びが上昇の要因と考えられる」と説明する。新規求人数で三桁だったのは公務と医療、福祉業のみで、この二つで新規求人全体の52・9%と半分以上を占めた。

 公務の求人では、奄美市は職員の臨時的任用(雇用期間は1年間、一般事務補助の場合の日給は5800円弱)で、3月に150人弱の求人を出している。総務課によると、これまでは4月に求人していたが、新年度が始まる4月から臨時職員を採用できるよう、3月中で各課の必要数を把握し職安に求人票を提出、事前に備えたという。同課は「3月に求人を出したところ、応募は業務によって差があるが、事務補助などは比較的応募が多い」としている。

 有効求人倍率の上昇は名瀬管内の企業でも全国や県内同様「人手不足の反映」との見方ができるが、3月は公務の臨時的採用が目立ったことから、今後も継続するかは見通せない状況だ。

 なお、名瀬職安管内の2016年度の平均有効求人倍率は0・82倍となり、前年度を0・14ポイント上回った。

    ◆

 県全体の3月の有効求人倍率は前月を0・02ポイント上回る1・12倍。新規求人数(パートを含む)は1万4760人、前年同月比8・7%増と8カ月連続の増加。新規求職者数(同)は9245人、前年同月比4・7%減と2カ月連続の減少となった。