大島 完封で8強へ

【2回戦・大島―鹿児島玉龍】6安打完封した大島のエース中村=鴨池市民

徳之島は尚志館に逆転負け

NHK旗高校野球第3日

【鹿児島】第59回NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会第3日は22日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民、両球場で2回戦4試合があった。

奄美勢の大島は鹿児島玉龍と対戦。二回に8番・濱田主将の右越え三塁打などで3点を先取した。エース中村が丁寧な投球で6安打完封し、5―0で勝利した。尚志館と対戦した徳之島は三回に左中間三塁打を放った1番・澤村が好走塁で先制点を挙げたが、五、六回とエラーも絡んで3失点し、1―3で逆転負けだった。

第4日は23日、県立球場で準々決勝2試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。

迷い断ち切り主将とエースが活躍 大島

【2回戦・大島―鹿児島玉龍】2回表大島二死一二塁、8番・濱田主将が先制の右越え三塁打を放つ=鴨池市民


本来は2番だが、気負わず「大きな打撃ができるように」と塗木哲哉監督が8番での起用を告げる。濱田主将は「チームに貢献できるなら打順はどこでも構わない」と思った。二回、二死ながら一二塁と絶好の先制機で初打席が回ってきた。

頭にあったのはこの1カ月間、奥裕史コーチと取り組んだ「間の取り方」。右足の親指でタイミングをとる感覚を意識するとボールがよく見えた気がした。特大の右越え三塁打で2点を先制し、チームを勢いづけた。

左腕エース中村も、春先から「思い通りのボールが投げられていない」悩みがあった。この日も、制球にはばらつきがあって、決して本調子ではなかった。だが、唯一良かった右打者の外角低めの直球を柱に、相手打者の狙いを読みながら、緩急を使って丁寧に狙いを外す投球が最後まで崩れなかった。

終わってみれば自身公式戦初完封、打っても2打点の活躍だった。「完封したことよりも安定した投球ができたのが自信になった」と中村。外野で守っていた濱田主将は「チームの誰よりも走り込んで練習して、努力している姿を知っていたので、うれしかった」と我がことのように喜んでいた。
(政純一郎)

持ち味、出し切れず 「自立」への試練は続く

徳之島

【2回戦・徳之島―尚志館】3回表徳之島一死、左中間三塁打を放った1番・澤村(左)が好判断で先制のホームを踏む=鴨池市民

徳之島は先制しながら無念の逆転負け。吉田公一監督は「エース富岡が良く投げて試合を作ったが、打線が3安打で1点しか取れなかった。攻撃型チームの持ち味を出せなかった」と悔しがった。

攻守の要・中原陸主将が大型連休中の沖縄遠征で左足に死球を当てて骨折。エースで4番の澤村洋飛を1番に起用し「より攻撃的に、先行して逃げ切る」打順を組んだ。

先制点はその澤村がもぎ取った。初回は三振だったが「高めに甘いボールもあると分かったので積極的に狙った」と三回は初球を迷わず振り抜いて左中間三塁打。捕手、中継に入った遊撃手、投手、誰も本塁をケアしていないのを見て取ると、一気に本塁を陥れた。

相手のスキを突いた徳之島野球の真骨頂で奪った先制点だったが、これ以降、無安打に抑えられる。「外角の直球とスライダーの出し入れがうまかった。打ち気を外され、振らされ、打たされてしまった」(吉田監督)。澤村に代わってエース番号を背負った富岡が好投したが、中盤の失点にはエラーが絡んだのも痛かった。

「ミスが出ると、声が出なくなって表情も暗くなっていた」。中原主将は、記録員としてベンチから客観的に観察してチームが一つになり切れていないと感じた。3月に田村正和監督が異動になって部員1人1人の「自立」がテーマだったが、誰かに頼ろうとしたり、1人で野球をやってしまう弱さが試合に出ていた。中原主将が戦線に復帰するにはもうしばらく時間がかかる。「1人1人が主将になったつもりで、日ごろの練習から自立を目指して取り組む」と澤村。試練は当分続くが、吉田監督は「逆にチャンスだと思っている」と前向きに考えていた。
(政純一郎)