千葉上席保護官が講演

郷土研究会で講演した千葉上席自然保護官

国立公園と世界自然遺産学ぶ 「発展・振興の大きなチャンス」
郷土研例会

奄美郷土研究会は28日、県立奄美図書館研修室で第359回例会「奄美群島国立公園学習会」を開いた。会員など約25人が参加し、環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官を講師に迎え国立公園と世界自然遺産について学んだ。

国内34番目の国立公園の「奄美群島国立公園」は、世界自然遺産登録の前提条件として3月7日に指定。これまでの国立公園と違い、「生態系管理型」と「環境文化型」の2本柱を掲げたものとして注目を集めていた。

学習会は、千葉さんが「奄美群島国立公園指定と世界自然遺産登録に向けた取り組み」の題で講演。スライド資料やパンフレットを用いて、国定公園と国立公園の相違点や世界自然遺産の登録基準などが解説された。

千葉さんは奄美群島国立公園で目指すものとして、自然景観や文化景観から自然環境の保全と地域の持続的な発展の両立を図るべきと提言。国立公園の保護規制について、色分け区分された地図を示しながらエリアごとの規制を紹介した。

世界自然遺産の登録基準を、▽最上級の自然現象など(自然景観)▽重要な地形学的特徴、自然地理学的特徴など(地形・地質)▽重要な生態学的過程、生物学的過程を代表するものなど(生態系)▽絶滅の恐れのある種の生息地など(生物多様性)▽国の法律で守られている▽自然を守るための仕組みや協力体制ができている―と提示。千葉さんは世界自然遺産登録に向けて、希少動植物の保護とマングースやノネコなど外来種対策などを課題に挙げた。

世界自然遺産になった場合どう生かしていくのかについて、「奄美に関わる人々にとって発展・振興を図る大きなチャンス」と位置づけ。世界自然遺産がゴールではなく、「どのように地域づくりを進めていくかの努力が鍵を握っている」と語った。

千葉さんへの質疑応答後に、田畑満大さんと森紘道さんが外来種問題や開発と自然保護について講話。田畑さんは、各地でまん延するシロノセンダングサやグラウンドゴルフ場の芝生などで外来種ツボミオオバコが侵入してきている事例を報告。森さんは、ノネコ問題も重要だが「開発行為も問題視しないといけない」と参加者に訴えた。