衆院総務委・金子委員質問

衆議院総務委員会で地方自治体における基金残高の増加などを取り上げた金子委員(提供写真)

基金増加「地方財政に余裕とは言えない」
変動や見込みなど全自治体調査へ

衆議院総務委員会が30日あり、金子万寿夫委員=自民党、鹿児島2区=が質問に立った。地方自治体の基金が近年増加傾向にある中、地方交付税交付金の配分を抑えるような提言が出ている点を金子委員は問題視。提言の妥当性についてただしたところ、総務省は基金の増加だけで「地方財政に余裕があるとは言えない」との見解を示した。基金の変動や見込みなど全自治体を対象にした調査が行われる。

金子委員が取り上げたのは、今月11日に開かれた経済財政諮問会議。「民間議員の中から、国地方を通して財政資金の効率的な配分に向けて、地方財政計画への反映等の改善方策の検討という趣旨の提言がなされた。地方自治体の財政調整基金は災害時の公共事業、独自施策など緊急的な財政出動への対応で当然必要なもの」として、こうした備えに対し「地方交付税交付金の配分を抑えるというような提言と受け止めている。地方交付税の削減にもつながりかねない提言の妥当性について総務省の見解を聞かせてほしい」と求めた。

同省自治財政局の黒田武一郎局長が答弁。民間議員の提言は「地方自治体の基金が近年増加していることを踏まえてのもの」とし、各地方自治体においては少子高齢化の中での社会保障や公共施設の老朽化に要する経費の増加、予期しない災害への備えなど「さまざまな地域の実情を踏まえて歳出の抑制努力を行いながら、それぞれの判断に基づいて基金の積み立てを行っている」と説明。

各地方自治体の対応によって「結果として地方全体の基金が増加していることのみをもって地方財政に余裕があるとは言えない。地方の財源である交付税を削減することは妥当ではないと捉えている」と黒田局長は述べた。

金子委員は基金を対象にした調査内容やスケジュールを質問。黒田局長は「基金残高が増加傾向にあることは事実。各自治体における基金の積み立て状況を把握するために全ての自治体を対象に調査を実施する」と説明。調査内容は▽財政調整基金、減債基金および特定目的基金の残高の変動状況▽今後の増減の見込み▽財政調整基金の積み立ての理由、積み立ての考え方、特定目的基金の使途―になる。スケジュールは「29日に調査依頼文書を発送したところ」として、毎年行っている決算状況調査のスケジュールと合わせて集計し、精査分析を行っていくとした。

金子委員は二元代表制と議員のなり手不足も取り上げた。「地方自治は議会が主役だと思っている。住民の多様な意見を集約して物事を決めるのは議会でしかありえない。議員のなり手不足は二元代表制の危機」として、土曜・日曜・夜間議会の開催など柔軟な議会運営の対応のほか、議会議員の立候補に伴う休暇を保障する制度、厚生年金加入制度などの必要性を挙げた。

同省自治行政局の安田充局長は「議会制度に関する地方制度調査会の議論は、第31次地方制度調査会でも議会の在り方、議会の活性化について議論されている」と報告し、議員に対する社会保障の充実は身分の根幹にかかわるものであることから「地方議会議員の声も聞いた上で各党各会派で議論する必要がある」と述べた。