「挑戦し続けて楽しさも」

中田さん(右から2番目)が講演、生徒代表がタンデムを体験

徳之島トライアスロン完走 盲ろう者・中田さん天城中で講演
サポートの生徒らに感謝も

【徳之島】視覚と聴覚に障がいを持つ盲ろう者で、25日の徳之島トライアスロンに出場した中田鈴子さん(50)、一緒に伴走したガイドらが26日、天城中(川畑拓校長、生徒数90人)で講演した。中田さんは通訳者を通じ、競技を始めたいきさつから、これまでの活動などに触れ「挑戦し続けたことで楽しさを感じられるようになってきた。来年も出場し、制限時間内でのゴールを目指したい」と今後の目標などを語った。

中田さんは生まれつき耳が聞こえなかった。また、先天的な目の病気により、視力も低下していった。ろう学校の学生時代は陸上部に所属し、主に短距離種目を専攻していたほか、球技など他のスポーツの経験も。憧れていたトライアスロンを一度は諦めかけたが、ある時、ガイドを伴って走るマラソンに取り組み始め、その後、視覚障がいのある友人を通じて、タンデム(2人乗り用自転車)の存在を知ったという。

長距離走と水泳は不得意だったが一念発起して本格的に練習に取り組み、千原寿一さん、箱谷幸恵さん2人のガイドと「チーム鈴」を結成し、各大会に出場している。

前日の「第30回トライアスロンin徳之島」総合の部に出場。「海の波が高く、暑さのなかのレースで大変だった」(中田さん)。何度も頭をよぎったリタイアも、「島民らの声援が力になり完走できた」とエイドステーションでサポートした生徒らにも感謝を伝えた。

生徒代表者のタンディム試乗、ペアを作り選手とガイド役に分かれ、歩いたり走ったりする体験も行った。同中生徒会長の千葉響君(14)は「障がいがあっても努力することの大切さを感じた。自分は卓球をしているが、練習がきつくても頑張り続けられるようにしたい」と感想を話した。

中田さん、「チーム鈴」のメンバーの宿泊費、交通費など練習、大会出場の費用などをサポートするための募金を募っている。窓口は一般社団法人あまみ徳之島ライフサポート 問い合わせなど℡0997―84―0086(本社)、℡072―665―8614(大阪支店)。詳細はホームページで確認できる。