「ヤマコンニャク」果実

29・6・(ヤマコンニャク・奄美大島北部)

西康範さんが撮影した「ヤマコンニャク」の果実

棒状で色鮮やか

にょきっと棒状で色鮮やか――。梅雨明けの奄美大島北部の林道沿い。緑色が輝くさまざまな植物が繁茂する中で、ひときわ目を引くのが「ヤマコンニャク」の果実だ。奄美市名瀬の西康範さんが撮影。絶滅危惧種であり、なかなか観察できない珍しい植物となっている。

今回撮影された果実は紫がかった濃青が半分以上、残りは光沢を帯びた赤の色彩。山下弘さんの著書『奄美の絶滅危惧植物』では、ヤマコンニャクは「海辺に咲く巨大花」と紹介されている。サトイモ科で奄美大島のほか、九州南部、沖縄に分布。海岸近くの岩場やソテツ群落地に生える多年草。

花(花期4~5月)は長さが約20㌢もあるが、その後に登場するのが果実。トウモロコシ状にぎっしりと実が付いている。最初は薄緑だった実は、時間が経つとともに先端から熟していく。薄いピンクがだんだん濃くなり、橙、赤、そして紫に近い色へ。

変化に富んだ色彩の果実は夏の盛りの頃には姿を消すが、花を咲かせた株の葉は、入れ替わるように地上部に姿を現す。絶滅危惧種だけに、花→果実→葉までを写真などで記録すると貴重な資料になりそう。