大島 序盤の好機そつなく

【4回戦・大島―松陽】3回表大島一死二塁、7番・柳田が左越え二塁打を放ち、4点目=県立鴨池

15日準々決勝、樟南と対戦

 

 【鹿児島】第99回全国高校野球選手権鹿児島大会第12日は14日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民の両球場で4回戦4試合があった。

 奄美勢は第5シード大島が松陽と対戦。序盤に得点を重ねて主導権を握り、6―2で勝利して、24年ぶりとなる夏準々決勝進出を決めた。この他、第4シード樟南、鹿屋中央、第3シード鹿児島城西が勝ち進み、ベスト8が出そろった。

 第13日は15日、県立球場で準々決勝2試合がある。大島は第2試合で樟南と対戦する。

試合結果は次の通り。
    =県立鴨池=
 ◇第1試合(4回戦)
大島
211101000 6
000020000 2
松陽
【大】日高―盛山
【松】有村―宮島
 ▽本塁打 重村(大)▽三塁打 吉見(大)、桑畑(松)▽二塁打 盛山、柳田(大)

 【評】初回、大島は4番・太月の右前適時打と敵失で2点を先取。二回は1番・濱田の犠飛、三回は7番・柳田の左越え二塁打、四回は2番・重村のソロと好機をそつなくものにして得点を重ねた。五回裏に長打を浴びて2失点。六回、押し出して6点目を挙げて以降追加点が奪えなかったが、先発の日高を中心に松陽にも追加点を許さず、4点差で逃げ切った。

「緩み」の修正に課題

170714大島円陣
【4回戦・大島―松陽】5回裏、ピンチの場面でマウンドに集まる大島ナイン=県立鴨池

 

「私学の山」に挑むために 大島

 

 24年ぶりの夏8強入りを決めた大島ナインだったが、表情は淡々としていた。「やろうとしたことの半分はできたが、試合中のアクシデントで緩んでしまったのを修正しきれなかった」(塗木哲哉監督)反省があった。

 序盤の好機にそつなく得点できた。「打つべきボールを打ち、打ってはいけないボールを打たない」(塗木監督)戦術を徹底できた。松陽の左腕・有村は変則的なフォームで球威はないが、緩急の使い方を得意とする。低めの変化球でゴロ、高めの直球でフライを打ち上げると相手の術中にはまってしまう。それ以外のストライクゾーンのボールをどう打ち返すかがテーマだった。

 立ち上がり、リードオフマンの濱田雄一郎主将は「緩い変化球をセンターから逆方向に打ち返す、イメージ通りに打てた」と中前打で出塁した。主将が「お手本」を示したことで、今大会絶好調の4番・太月のタイムリーで先制し、四回まで毎回得点を挙げることができた。

 アクシデントが起きたのは五回裏だった。一死一二塁で相手の送りバント失敗の打球が捕手・盛山の股間を直撃。しばらくベンチに下がって治療したため「嫌な間合い」(塗木監督)ができてしまった。ほどなく復帰できたが、その回は捕球するのもきつそうにしていた。思わぬアクシデントでチームに「緩み」が出てしまい、1番・桑畑に長打を浴びて、2点を返された。

 以降「緩むな!」と毎回ベンチで言い続けたが、微妙な緩みを特に攻撃面で修正できなかった。打ってはいけない高めに手を出して打ち上げるなど凡打が続き、六回以降追加点は押し出しでもらった1点のみだった。

 これまで3戦は全て公立校が相手で、挑んでくる相手をシード校としてどう跳ね返すかがテーマだった。目標の甲子園を勝ち取るためには、準々決勝以降の3戦、強豪私学との対戦が予想され「私学にはそんな緩みに付け込んで畳みかける打線の力がある」(塗木監督)。これから立ちはだかる「私学の山」に挑むために濱田主将は「受けにならず、自分たちの野球をやり切るだけ」と気持ちを引き締めていた。
     (政純一郎)

人生初アーチ

170714熱球譜・大島

課題克服し、スタメン勝ち取る

 

大島・重村鴻太朗右翼手

 

 四回表一死、カウント2ボール1ストライク。「ボールがよく見えていた。狙っていた直球が来たので思い切り振った」打球は右翼ポール直撃のソロホームラン。野球人生初の本塁打だった=写真=。

 打球の行方を見ておらず全力疾走。「ホームランだよ」と三塁コーチャーにいわれて初めて気づいた。「長打だと思って全力で走ったので、今一つ実感がない」のが初アーチの感想だった。

 昨秋は背番号9でレギュラーだったが、春、NHK旗は背番号10。守備の良さを買われ、後半の守備固めや守備重視の試合で先発する選手だった。

 「昨秋の神村学園戦で打てなくて悔しい思いをした。夏の大会でレギュラーを取るために自分の課題を克服しようと考えた」。

 課題は打撃に積極性がないこと。積極性を身に着けるために普段の練習からファーストストライクを積極的に、フルスイングを心掛けるようにして、6月ごろから打撃の調子が上向いてきた。

 夏は背番号9を奪還し、「2番・右翼手」のスタメンも勝ち取った。この試合も本塁打だけでなく、初回は送りバントを決め、二回は中前打を放ち、盗塁を決めるなど、つなぐ仕事もそつなくこなした。

 これまでの先輩たちが届かなかったベスト8入りを果たしたが、浮かれることはない。「強豪私学に勝って、甲子園出場を決めて、初めて本当に喜びたい」と張り切っていた。
     (政純一郎)