魅力的・個性的食材が多彩

「伊仙町シェフツアー」で地場食材を駆使した即興フレンチ料理をの披露も(手前・石井氏)=29日、伊仙町

伊仙町、「シェフツアー」で

ふるさとレストランへ

 【徳之島】伊仙町は町内産の農林水産物など一次産品の販路拡大とブランディング向上に28、29の両日、東京都内で活躍して情報発信力と食材プロデュース力を持つ一流料理人を招いた「シェフツアー」を実施。地元食材を駆使した即興フレンチ料理も披露した。町側はふるさと納税返礼に「伊仙町ふるさとレストラン」食事券も加え、島食材をPRする方針だ。

 同町は町農業生産額の向上を目指す上での6次産業化の遂行や島食材のPR、直販ルートの拡大も急務と位置付けている。こうした中、「長島ふるさとレストラン」を先行するなど食材関連で交流が生まれた鹿児島・長島町が同取り組みを提案した。伊仙町ふるさと納税者らの同財源希望使途の一つ「特産品開発」に沿って「町シェフツアー&ふるさとレストラン」プロジェクトに位置付けた。

 ツアーに参加したのは、東京都渋谷区のフランス料理専門店「MONOLITH(モノリス)」シェフの石井剛氏(44)ら首都圏2店舗の料理人と、長島町地域おこし協力隊員、食材流通業関係者らの計4人。町職員らの案内で町内のキャッサバ(タピオカ)やショウガ、パパイア、グアバ、マンゴー、コーヒー、長命草(ボタンボウフウ)、ドラゴンフルーツ園など生産現場を訪問。ほか、旬の野菜や果物、魚介類など地場産品直売所などもつぶさに視察した。

 地場食材を駆使した即興料理は最終日の午後、同町ほーらい館の調理室であった。夜光貝とパパイア、ドラゴンフルーツとシークニン(在来山ミカン)ドレッシング、地魚(アカマツ)カルパッチョ、黒豚ローストとの島ラッキョウをそれぞれエスニックなフレンチ風料理を1時間余で次々と創作。「ル・テタンジェ国際料理コンクール・ジャポン」2008年と09年の2年連続準優勝(石井氏)など一流料理人たちの味で感動させた

 石井氏は「ドラゴンフルーツやグアバも使って、他店と差別化できるよう前向きに検討したい。島をアピールできる魅力的で個性的な食材が十分あり、ふるさとレストラン独特の個性のあるコース料理ができると思う」。販路の現状には「食材の価値がもっと出ていい。1つ1つの食材が安く見られていると感じた。シェフと直接パイプを持った直販も必要」と話した。

 町側はふるさと納税返礼の「伊仙町ふるさとレストラン」食事券を今秋と来年2月の2期間を検討。同プロジェクトを通じ、①ふるさと納税額の増加②徳之島食材のPR・直販ルートの拡大③シェフツアー参加料理人との関係性維持④先行実施中の「長島ふるさとレストラン」との連携強化―などを図る方針だ。