県、農業白書作成し公表

サトウキビ増産ではハ―ベスタ導入支援などで機械化一貫体系が進められている(資料写真)

販路拡大取組み紹介

 

サトウキビは増産策示す

 

 県は、県版農業白書に当たる2017年「かごしまの食、農業及び農村に関する年次報告書」を作成し、県ホームページでも公表している。三反園訓知事のトップセールスによるPRなど県産農畜産物の国内販路拡大に向けた取り組みを紹介しているほか、奄美の基幹作物・サトウキビは増産に向けた施策を示している。

 今回の報告書で特集しているのが「農畜産物の販売促進活動の展開」「GAP(農業生産工程管理)の取組推進」。このうち販促活動は、高級量販店等へのトップセールスや販売指定店等の拡大などにより国内の販売対策を推進。また、県産農畜産物の輸出促進により、16年度の輸出額は、香港向けの牛肉の伸びなどで「前年度比32%増の73億円に拡大」を挙げている。

 トピックスとして12項目を掲載しているが、サトウキビは増産の取り組みを紹介。▽経営基盤の強化=大規模経営体や農作業受託組織等担い手の育成。増産計画に基づく地域の実情に応じた体制整備に対する支援▽生産基盤の強化=ハーベスタ、全茎式プランタ等の導入に対する支援で機械化一貫体系の普及・確立。堆肥、緑肥作物の実証試験や、土壌改良資材の散布への支援など地力増進▽技術対策=病害虫防除対策の推進(増産基金を活用したメイチュウ類の一斉防除、共同防除等の取り組みに対する支援)。優良品種の育成・普及(夏植えで多収となる「農林27号」を奨励品種に選定)―の三本柱で進めている。こうした施策や気象条件に恵まれたことで、16年産の生産量は、前年比26%増となる63・6万㌧を確保(60万㌧超は6年ぶり)した。

 農業試験研究の成果もある。関係するものでは、奄美地域向け秋スプレーギク品種「きゅらメーレ」(桃色)の育成を紹介。市場で評価の高い白色の「きゅらシューサー」、黄色の「きゅらキララ」とともに、需要の多い三色による有利販売が期待できるとしている。

 農業の動向では、担い手の確保・育成も。認定農業者数は8191戸(16年度末現在、前年比222戸減)。374戸が新たに認定されたものの、高齢化などで596戸減少した。集落や地域の合意形成の下で活動する集落営農数144集落(16年度末現在)。集落営農法人は、29法人となっている。

 農村の動向で離島地域の振興を掲載。奄美(大島地域)に関しては「かごしまブランドに指定されている『沖永良部のばれいしょ』『徳之島のばれいしょ』『えらぶゆり』の産地拡大を推進。また、徳之島、沖永良部島では、大規模畑地かんがい施設の整備を推進」を挙げている。