阿室校区活性化委 天皇杯を受賞

阿室集落で校区活性化対策委員会が稲作作業を行う(提供写真)

地域ぐるみでむらづくり

 

35世帯79人移住者受入れ高齢化率が下降

 

奄美で17年ぶり3度目

 

 県は18日、地域ぐるみでむらづくりに取り組む宇検村の阿室校区活性化対策委員会(後藤恭子会長)が2017年度第56回農林水産祭むらづくり部門で天皇杯に決定したと発表した。奄美からは00年度の正名字=あざ=(知名町)以来17年ぶりで、3度目の受賞。表彰式は11月23日、東京の明治神宮会館で行われる農林水産祭式典で実施される。

 県農村振興課は同委員会の取り組みが中央審査委員会で、「極めて条件不利な地であるにも関わらず、全国の条件不利地のモデル事例になり得るもの」と高い評価を受けたと説明。取り組みの概要は、▽親子山村留学によるI・Uターン者を地域農業の担い手とし、就農して産地再生に▽地元住民とI・Uターン者によるタンカンや島ニンニク等の地域ぐるみの生産▽校区一体となり子育て、教育、伝統文化の継承、自然環境の保全―などとなっている。

 同委員会は、阿室小中学校の存続の危機に直面し校区内全世帯の意向調査を経て09年に立ち上げ。親子山村留学や、山村留学した世帯が安心して生活できるよう地域の農林水産業振興を図る活動を開始した。

 こうした取り組みで、10年以降の8年間で35世帯79人の移住者を受け入れ。校区の人口は220人前後で推移し、高齢化率は09年48・4%から39・8%に減少した。

 県7例目の快挙に、三反園訓知事も天皇杯受賞を喜び「地元住民と移住者との共働によるむらづくりの取り組みが高く評価されたものと考えている。今回の受賞は、むらづくり活動に取り組む県民にも大きな励みになる」と語った。

 宇検村の元田信有村長は、「天皇杯受賞は大変名誉なこと。取り組んできた阿室校区の住民に敬意を表したい。村制100周年の節目に花を添えていただいた。受賞はうれしいがこれからの活動が大事だ。村内の他の地区にも広がり波及するように、行政も支援しバックアップしていきたい」とコメントした。

 受賞する同委員会の後藤会長は、「大変びっくりした。自分たちは当たり前のことをやっているだけ。地域活性化に苦労されている地域の励みになり喜んでくれればうれしい」と話した。