徳之島町 井之川夏目踊り保存会

「先祖の心・祭りの心」を訪ねた稲作体験の恵みで餅つき交流も=23日、徳之島町井之川

「先祖の心・祭りの心」訪ね稲作体験―餅つき

 

 【徳之島】徳之島町「井之川夏目踊り保存会」(保和廣会長)主催の餅つき交流が23日午前、井之川公民館であった。県指定無形民俗文化財の同夏目踊りの伝承活動に取り組む神之嶺小や井之川中の児童生徒や保護者、住民など約100人が参加。「先祖の心・祭りの心」を訪ねた稲作体験の恵みで餅をつき、食農一貫の試食会でも交流した。

 「夏目踊り」は、旧七月の基層的な折り目行事「浜下(う)り」の中で、夜を徹し家々を踊り巡る井之川集落の一大伝統行事。源流は稲作文化・儀礼だが、1970年台の減反政策で水田は消滅。同保存会が「伝統行事は稲作体験抜きには語れない。島の祭りは古来稲作儀礼とともにあった」と奮起。「フンジュリ田袋」跡に6年前、体験用水田(約6㌃)を復活して取り組んでいる。

 夏目踊り保存会の保会長と前会長の町田進氏(町文化財保護審議会会長・町文化協会長)によると、4月中旬、保存会一行の伝統歌謡「田植え歌」にも励まされて田植え作業を体験し、7月下旬に収穫。今年は鳥害防止の網を張るのが早かったため作柄は良好で約60㌔収穫できた。

 餅つき交流では、保存会会員たちの手ほどきで、子どもたち全員が交互にきね音を響かせた。次々とつきあがった餅は、女性連メンバーたちの協力で、ぜんざいや吸い物の具になり全員で舌鼓を打った。岩崎琉佑さん(井之川中2年生)は「田植え体験では足が泥に埋まったりして大変だったけど、お餅はおいしかった」とにっこり。

 夏目踊り保存会の育ての親でもある町田さんは、「祭りの心の継承をどうするか。稲作を知らずして、踊りだけをしても心の継承にはならないと思う。祭りの意味を知ると、祖先の思いに近づける」と話した。