農薬散布ドローン始動

農水航空協認定の九州・沖縄地区「第1号」として
農薬散布ドローンを始動させた松山栄作さん=27日、徳之島町

効率的・低コストの農薬散布を可能にした産業用ドローン

九州・沖縄第1号 農水航空協認定・稼働
徳之島町の松さん

【徳之島】一般社団法人農林水産航空協会(農水航空協)の「産業用マルチローターオペレーター技能認定」など有資格者が、農業用の農薬散布ドローン(無人航空機)の最高峰の新機種を導入、徳之島で一般農家からの受託作業を開始した。作業効率は手作業の40~60倍、1㌶当たりの散布時間はわずか約10分。資格取得や機体の輸入改良、入手の関係もあり、九州・沖縄地区では第1号となった。

始動したのは、ドローンによる空中撮影や測量、調査、農薬散布などを行う合同会社「空撮きゅっ」(徳之島町亀津、松山栄作代表)。元レーシングカーなど精密部品製造業・エンジニアの松山代表(54)だが、ラジコンヘリなどの製作・操縦歴も約30年。ドローンも、GPS連携のフライトコントローラーが無かった約10年前に始め、現在4機種目という大ベテランだ。

病害虫防除薬や肥料など農薬(液体)の空中散布業務に傾倒したのは、「島では農業担い手となる若者の島外流出と高齢化で構造的な人手不足が続いている。効率的・低コストの農薬散布業務で農家を応援し、暑い中での辛い作業から解放。高齢者の皆さんには楽しい農業を」がきっかけ。

日本の輸入・改良(噴霧機部分など)・販売元の友人の配慮で、最短の約8カ月待ちで導入できた機体は「DJI農業用ドローン『AGRAS MG-1S』」(約240万円)。操縦するには農水航空協の認定証のほか、DJI技能認定証明証が必要となる。

同機は液体の農薬や肥料、除草剤などを高精度に散布できるオクトコプター(プロペラ8機)を装備。バッテリ1つで最大10分間飛行し、約1㌶の農薬散布が可能。コントローラーの下に噴霧タンクを装着、最大10㌔(約10㍑)の液体を運搬できる。

地形や障害物など条件によるが、最高飛行速度は秒速8㍍。フライトコントロールシステムと3個のミリレーダーを搭載し、農地の地形を細かくスキャンして地上1・5㍍~2㍍を飛行。農作物との距離を一定に保ちつつ、素早く、ムラなく均等に散布。地上散布機と違って、他のほ場への移動時の土壌汚染防止の機器洗浄など手間も省力化される。

散布作業料金は10㌃当たり3千円前後(薬剤費別)を検討。一般農家からは早くも「驚異的に安い設定」との反応も。新たな農業改革への飛躍の第一歩だが、「私の最終目標は、インストラクター役を務め一人でも多くの若いオペレーターたちを育てること」と松山さん。

「空撮きゅっ」▽電話0997・83・1648(携帯080・4449・1648)。