市民後見人養成講座開講

奄美市市民後見人講座が開かれ、40人が成年後見人制度について学んだ

新しい「結い」の形期待
法人後見の受託目指す取組も

奄美市は24日、奄美市名瀬の奄美病院で「奄美市市民後見人養成講座」の開講式と第1回講座を行った。講座には40人が参加し、成年後見人制度についての基礎知識や、市民後見人の概論を学んだ。

成年後見人は、判断能力が不十分な人の代わりに福祉サービスの契約や、財産管理を行う。そのうち、養成講座で知識を習得した地域住民が第三者の後見を行うのが市民後見人。同講座が開かれるのは今年度で3回目。16年度までにすでに57人が講座を修了している。

第1回講座では、そらうみ法律事務所奄美事務所の鈴木穂人弁護士・社会福祉士と、NPO法人あまみ成年後見センターの勝村克彦理事長が登壇。鈴木弁護士・社会福祉士は、成年後見制度についての基礎的な知識を、自身の経験を交えて解説した。

鈴木弁護士・社会福祉士は解説の締めくくりに、「これまでは家族や親族で対応してきたことだが、最近は社会制度が複雑化している。介護者が対応に不安を感じた場合は後見制度の利用を考えるべき。集落を越えて支え合う、新しい『結い』の形が求められているので協働、連携を深めてほしい」と話した。

勝村理事長は奄美大島における市民後見人の現状などについて説明。奄美大島では成年後見制度の利用率が低いことを指摘。また、弁護士や司法書士などの専門職も不足している。家族関係が希薄化し、親族後見のなり手が不足する一方で、認知症高齢者などの増加によって被後見人が増えていくことが見込まれるため、市民後見人がより一層求められるという。

講座の中で勝村理事長は「今後は法人後見の受託を目指している。実現すれば、養成講座修了者は一人で後見の責任を背負うことなく、支援員として活動することができる」と、今後の展望を語った

同市から同講座に参加した白浜和晃さんは「制度自体は何年か前から知っていて、今回は知識の再確認となった。修了すれば、できる範囲で協力したい」と話した。